2015オールスターナイト陸上 > 種目ごとの見どころ紹介

種目ごとの見どころ紹介

100m

 スタート前の一瞬の静寂。号砲と同時に解き放たれる10秒間の力の爆発。まさに、陸上競技の花形といえるこの種目。
 男子では、韓国・光州で行われたユニバーシアードの4×100mR金メダルメンバーである長田拓也(法政大)に勢いがある。6月の日本学生個人では10.19の自己ベストをマークしており、同じ平塚でさらなる好記録を目指す。一方、実業団側では、川面聡大(ミズノ)が、日本選手権で長田に先着。2011年世界選手権代表が輝きを見せるか。小谷優介(住友電工)は、自らの持つ大会記録の更新を目指す。
 女子では、今年のアジア選手権代表だった北風沙織(北海道ハイテク)が優勝候補筆頭。しかし、学生チームも、東海IC優勝の沖佳織(愛知教育大)、関西IC優勝の中村水月(大阪成蹊大)、関東IC2位の塩谷寛美(駿河台大)と、粒ぞろいの好選手が揃う。
 さらに、女子には、今夏の世界選手権オーストラリア代表のメリッサ・ブリーンがオープン参加。日本記録を上回る11秒11という自己記録を持つブリーンを相手と切磋琢磨し、日本選手は好記録を狙いたい。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 長田 拓也(法政大):10秒19
○女子 北風 沙織(北海道ハイテク):11秒73

400m

 短距離種目では最長のこの種目。トラック1周を50秒以内で駆け抜けるが、最後の直線は、選手にとっては永遠に感じられると言う。
 男子では、45秒台のシーズンベストを持つ廣瀬英行(富士通)と堀井浩介(城西大)に注目。堀井は、同級生の佐藤拳太郎とともに、城西大を大学史上初の関東IC4×400mR制覇に導いた。ユニバーシアード代表など世界で活躍する佐藤に刺激を受け、日本選手権でも決勝進出など今季大きく力を伸ばしている。今年の日本選手権で3位に入った社会人ルーキーの田村朋也(住友電工)にも期待。
 女子では、武石この実(東邦銀行)と新宅麻未(中央大)が53秒台のシーズンベストを持ち、ともに今季好調。昨年のアジア大会代表である青山聖佳(大阪成蹊大)も、関西IC後に故障等もありシーズンベストは2人に劣るが、優勝を狙える力を秘める。田中千智(九電工)は昨年の本大会を制し、2連覇を狙う。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 堀井 浩介(城西大):45秒85
○女子 武石 この実(東邦銀行):53秒58

800m

 400mトラックを2周。最初から引っ張るか、最後のスパートに賭けるかなど、駆け引きが非常に重要な種目で、心技体すべてが要求される。
 男子では、当初出場を予定していた前日本記録保持者の横田真人(富士通)が欠場となったものの、学生チームに昨年の日本ICチャンピオンかつ本大会覇者でもある櫻井大介(京都大)、今年の関西ICでその櫻井を破って関西学生新記録を樹立した戒田規彰(関西大)ら、好調の関西勢が揃った。櫻井は今月のホクレンディスタンスチャレンジで、戒田の記録をさらに更新する関西学生新記録。切磋琢磨してレベルアップしている。対する実業団チームは、日本選手権3位の田中匠瑛(盛岡市役所)に力がある。
 女子では、山田はな(東京学芸大)が、地元で行われた今年の日本選手権を初制覇。勢いそのままに、本大会でも優勝を狙う。対して、シーズンベストで100分の1秒だけ山田を上回るのが真下まなみ(セレスポ)。日本選手権ではラスト50mで山田に逆転され優勝をさらわれただけに、日本選手権のリベンジマッチとなるか。山田の大学の後輩であり、同じく2分6秒台の記録を持つ卜部蘭(東京学芸大)も、高校時代から一線級で活躍してきた選手で実力がある。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 櫻井 大介(京都大):1分48秒48
○女子 真下 まなみ(セレスポ):2分06秒20

110mH・100mH

 ハードルの高さは、男子では大人の腰くらいの高さ(1.067m)。全身を目いっぱいに使ってハードルを超えていく姿は、迫力を感じさせる。
 男子110mHは、実力が拮抗。シーズンベストでは札場大輝(国際武道大)がトップ。ユニバーシアードで銅メダルを獲得した大学の同級生・増野元太(国際武道大)の背中を追って記録を伸ばしてきた。一方、日本学生個人では、その札場を鍵本真啓(立命館大)が破って優勝。さらに、昨年のアジアジュニア選手権金メダリストの金井大旺(法政大)にも力がある。実業団チームも、彼らと同じくらいのシーズンベストを持つ選手が揃い、誰が優勝するかわからない。
 女子100mHは、今年の日本選手権上位3名が勢ぞろいした。紫村仁美(三養基高校教)は、今年日本選手権を初制覇。シーズンベストでも出場者中最上位を占める。一方で、日本選手権で2位・3位に入った田中杏梨(甲南大)、青木益未(環太平洋大)の学生勢にも勢いがある。青木は学生歴代5位、田中は学生歴代6位の自己ベストを持ち、早稲田大学時代に紫村が出した日本学生記録も視野に入る。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 札場 大輝(国際武道大):13秒81
○女子 紫村 仁美(三養基高校教):13秒27

400mH

 400mを走る間に10台のハードルを越える。スピードとハードル技術の両方が問われる。ハードル間を何歩で刻むかなどにも注目してみると、人それぞれで面白い。
 男子には、日本選手権優勝の松下祐樹(ミズノスポーツサービズ)が参戦。同期の野澤啓佑(ミズノ)とともに、好記録を狙う。吉田和晃(大阪ガス)も、今年のアジア選手権銅メダリストで力がある。今季誰も50秒を切っていない学生陣は、実業団選手と競り合って49秒台を狙いたい。
 女子では、今年日本選手権を初制覇した吉良愛美(アットホーム)が優勝候補筆頭。ただ一人56秒台のシーズンベストを持ち、実力は頭一つ抜けている。学生は、昨年の日本IC100mH覇者の藤原未来(武庫川女子大)が、今季は400mHで学生ランキングトップ。両ハードルでトップレベルの力を持ち、「大物食い」を狙う。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 松下 祐樹(ミズノスポーツサービズ):49秒57
○女子 吉良 愛美(アットホーム):56秒94

走高跳

 「高さの跳躍」と呼ばれる跳躍種目の1つ。助走のリズムと、スピードを高さに変える技術力、バーに触れずにマットに着地する身のこなしが重要。
 男子のみが行われ、注目は平松祐司(筑波大)と髙張広海(日立ICT)の争い。ともに世界選手権標準記録を突破していたが、6月の日本選手権で平松が髙張を上回り、世界選手権代表への切符を手にした。平松は、ユニバーシアードでは2m10で予選落ちなど、連戦による疲れも窺えるが、ハイレベルの戦いでのここ一番の集中力はずば抜けている。近年の走高跳界を牽引してきた髙張も、まだまだ若手には譲れない。
 さらに、この種目には、今夏の世界選手権オーストラリア代表のブランドン・スタークがオープン参加。2m30の自己記録を持つ。世界選手権で対決する平松をはじめ、日本選手はレベルの高い争いをしたい。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 髙張 広海(日立ICT)、平松 祐司(筑波大):2m28

走幅跳

 助走のスピードを跳躍力に変え、宙を舞って砂場に着地する。スピードが肝心だが、空中での姿勢や、1センチ単位での助走開始位置の調整など、細かな技術もものを言う。
 女子のみが行われ、実力では平加有梨奈(北海道ハイテク)が頭一つ抜ける。今年のアジア選手権代表、また日本選手権でも2位に入っており、順当に6点を確保したい。一方、学生では、昨年の日本選手権で高校生ながら2位に入った水口怜(東京学芸大)らが、虎視眈々と好記録を狙う。
≪シーズンベストトップ≫
○女子 平加 有梨奈(北海道ハイテク):6m42

三段跳

 ホップ・ステップ・ジャンプの三段のリズムで、10mを超える距離を稼ぐ。よく観察すると、人によってホップ・ステップ・ジャンプそれぞれで稼ぐ距離の割合も微妙に違っており、そういった細かな違いに目を向けるのも醍醐味の一つ。
 男子のみが行われ、シーズンベストでは実業団チームの岡部優真(九電工)、長谷川大悟(日立ICT)が16m30以上を跳んでおり、上位を占める。学生チームは、昨年の日本選手権で2位に入った佐脇匠(愛知教育大)らを中心に、一矢報いたい。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 岡部 優真(九電工):16m39

砲丸投

 世界レベルの選手でも20m程度の記録と、投てき種目の中では、地味に思われがちな種目。しかし、砲丸の重さは男子で7.260kgとハンマー投と並んで最も重いため、パワーが非常にものを言う豪快さが魅力でもある。一方、人によって回転投法かグライド投法かが異なるなど、細かい技術面にも注目したい。
 男子のみが行われ、何と言っても注目は、日本選手権で18m78の日本新記録を樹立した畑瀬聡(群馬綜合ガードシステム)。日本選手権4連覇中で、優勝はほぼ間違いない。コンディション次第では、再びの日本記録がみられるかもしれない。学生チームからは、関東ICで表彰台を独占した日本大学のエース・鈴木愛勇と筒井崇広が出場。ハイレベルの戦いで集中力を発揮したい。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 畑瀬 聡(群馬綜合ガードシステム):18m78 ※日本記録

円盤投

 ハンマー投と並んで、ネットに囲まれたサークル内でターンをして円盤を遠くに飛ばす。教科書などで、よく円盤投をしている男性の像の写真が掲載されるように、古代オリンピックからあった歴史ある種目。円盤の重さは、男子2kg、女子1kg。
 女子のみ行われるが、日本選手権の上位3名が出そろった。坂口亜弓(S.T.T.)は、今年日本選手権を初制覇。実力的には一歩抜けている。しかし、日本選手権2位の藤森夏美(順天堂大)、3位の中田恵莉子(四国大学教職)も、シーズンベストでは50mを超え、坂口と遜色ない記録を持つ。一発はまれば、金星を挙げる可能性は十分。
≪シーズンベストトップ≫
○女子 坂口 亜弓(S.T.T.):53m58

ハンマー投

 室伏広治の活躍などで、一番なじみのある投てき種目かもしれない。男子7.260kg、女子4kgのハンマーを60m以上飛ばすには、上半身と下半身のバランスのとれた身体能力が不可欠。
 男子のみが行われ、優勝候補筆頭は、室伏の欠場した日本選手権で新たなチャンピオンとなった野口裕史(群馬綜合ガードシステム)。唯一70mを超えるシーズンベストを持つ選手。シーズンベストでは、実業団3選手が上位を占めるが、学生でも、65mを超えるシーズンベストを持つ地元東海大の名城政臣(東海大)、関東IC覇者の堀健斗(順天堂大)らが一矢報いるチャンスをうかがう。
≪シーズンベストトップ≫
○男子 野口 裕史(群馬綜合ガードシステム):71m98

やり投

 近年日本男子の活躍が著しい種目。男子800g、女子600gのやりを投げる。一番「投げている」感はあるが、実は、素人ではまっすぐ投げる事さえ難しい。
 女子のみ行われ、今年の日本選手権2位の助永仁美(オークワ)、直近2回の本大会を制しているアジア選手権代表の宮下梨沙(薫英女学院教)ら、実業団選手に力のある選手がそろう。一方で、学生も、昨年の世界ジュニア代表である當間汐織(九州共立大)、今季一気に力を伸ばしてきた加藤瑞生(京都教育大)など、トップレベルの選手がそろった。切磋琢磨して、好記録を狙いたい。
≪シーズンベストトップ≫
○女子 助永 仁美(オークワ):58m51
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