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The Inter-University Athletics Union of Japan

種目ごとの観戦ポイント

100m

 スタート前の一瞬の静寂。号砲と同時に解き放たれる10秒間の力の爆発。まさに、陸上競技の花形といえるこの種目。
 男子では、昨年の世界選手権の4×100mR銅メダルメンバー、多田修平(関西学院大)が連覇に挑む。昨年のこの大会で、追い風参考ながら日本人として国内初の9秒台をマーク。今年狙うは当然、公認での9秒台、そして日本記録。強敵となるのは楊俊瀚(国立台湾体育運動大学)か。台湾記録保持者で、多田が7位だった昨年のユニバーシアードの金メダリスト。ハイレベルの戦いに期待。
 女子では、資格記録トップが11秒73で5人並ぶ異例の展開。加えて、関西IC100m・200m2冠の西尾香穂(甲南大)、前週に岐阜で行われたアジアジュニアで銅メダルに輝いた兒玉芽生(福岡大)にも力があり混戦模様。シンガポールから初参戦となるVeronica Shanti Pereira(シンガポールマネジメント大)は、100mと200mのシンガポール記録保持者。この大会に新たな歴史が刻まれるか。
【資格記録上位ランキング】
 
男子女子
1多田 修平 関西学院大10.071足立 紗矢香青山学院大11.73
2楊 俊瀚国立台湾体育運動大10.201 柴山 沙也香大阪成蹊大11.73
3西村 顕志富山大10.321壹岐 いちこ立命館大11.73
4福島 聖富山大10.341佐渡山 みなみ九州共立大11.73
4王 偉旭国立台湾体育運動大10.341Veronica Shanti Pereiraシンガポールマネジメント大11.73

200m

 スプリントの花形、100mに比べて地味な印象のこの種目だが、実は、曲走路の走りが勝負を分ける、速さと技術がものを言う味のある種目でもある。
 男子では、昨年大会記録でこの種目を制した山下潤(筑波大)が今季も順調。5月の関東ICでは初優勝を飾った。その山下を上回る資格記録を持つのが、楊俊瀚(国立台湾体育運動大学)。昨年のユニバーシアードでは、楊、山下ともに決勝に進出し、楊が7位、山下が8位。楊も今年5月に20秒33の台湾新記録をマークし好調。平塚の海風はどちらに味方するのか。それともダークホースの台頭か。
 女子は、ランキングトップは柴山沙也香(大阪成蹊大)。至学館高時代から活躍し、昨年日本IC2位の実力者。その柴山を関西ICで破ったのが西尾香穂(甲南大)。関西ICで柴山を上回る3位に入った吉田紗弓(立命館大)と合わせ、関西学連所属の3回生同士のライバル対決が見どころ。関東IC2位の渡邉ひかる(駿河台大)、佐藤日奈子(大東文化大)ら関東勢が割って入ることができるか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1 楊 俊瀚国立台湾体育運動大20.331柴山 沙也香大阪成蹊大23.86
2 山下 潤筑波大20.592西尾 香穂甲南大24.06
3永田 駿斗慶應義塾大20.863渡邉 ひかる駿河台大24.09
4東田 旺洋筑波大20.884木村 瑞穂甲南大24.12
5齊藤 勇真筑波大20.935佐藤 日奈子大東文化大24.16

400m

 短距離種目では最長のこの種目。トラック1周を50秒以内で駆け抜けるが、最後の直線は、選手にとっては永遠に感じられると言う。
 男子では、若林康太、工藤大晟の駿河台大勢が好調。昨年の覇者・若林は、今年5月に45秒台に突入。トップレベルの仲間入りを果たした。工藤も今年に入って1秒以上自己記録を更新。関東IC2部では、若林・工藤で1位・2位を独占した。他にも、関西IC覇者の河内光起(近畿大)、5月に自己記録更新の九州IC覇者・松清和希(福岡大)ら、全国から強豪が集結。群雄割拠の様相だ。
 女子では、昨年の日本選手権覇者・岩田優奈(中央大)が連覇を狙う。昨年は、この大会、実学対抗、日本ICと学生タイトルを総なめし、日本選手権まで制する大ブレイクの年だった。今年も、関東ICこそ関東学生新を樹立した広沢真愛(日本体育大)に苦杯を舐めたが、安定した成績を残している。昨年2位の松本聖華(駿河台大)、3位の椎谷佳奈子(新潟医療福祉大)らがどこまで迫れるか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1若林 康太駿河台大45.811岩田 優奈中央大53.65
2河内 光起近畿大46.062松本 聖華駿河台大54.34
3松清 和希福岡大46.163伊谷 栞奈駿河台大54.36
4工藤 大晟駿河台大46.314稲岡 真由園田学園女子大54.65
5楊 隆翔国立台湾師範大46.575川上 いちご千葉大54.67

800m

 400mトラックを2周。最初から引っ張るか、最後のスパートに賭けるかなど、駆け引きが非常に重要な種目で、心技体すべてが要求される。
 男子では、昨年のこの大会を大会新記録で制した高木駿一(鹿屋体育大)は、勢いそのまま、昨年7月には九州の学生で初の1分48秒台ランナーとなった。今年は、自身の大会記録を更新しての2連覇を狙う。一方、関東ICで自己記録を更新しそれぞれ2位・3位に入った梅谷健太(順天堂大)、瀬戸口大地(山梨学院大)らにも勢いがあり、実力は拮抗。レースの主導権争いが勝敗を分けそう。
女子では、秋田大の医学生・広田有紀が、高校3年のIH以来5年ぶりの全国タイトルに挑む。一昨年の日本ICが3位、昨年の日本ICは2位。機は熟した。一方、ランキング2位の池崎愛里(順天堂大)は、今年関東ICを初制覇。昨年も、関東IC2位、この大会2位、日本IC3位と安定した成績を残しており、学生記録保持者の北村夢(日本体育大)という強敵が卒業した今、目指す高みは優勝のみ。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1白石 浩之順天堂大1:48.041広田 有紀秋田大2:05.01
2梅谷 健太順天堂大1:48.532池崎 愛里順天堂大2:06.40
3高木 駿一鹿屋体育大1:48.563中村 美宇福島大2:08.62
4瀬戸口 大地山梨学院大1:48.954戸谷 温海山梨学院大2:09.35
4木原 裕貴同志社大1:48.955陣在 ほのか日本体育大2:09.43

1500m

 800mと同様に、頭を使うことも要求される種目。4分間の間に先頭の入れ替わりやスパート合戦など、さまざまな展開が繰り広げられ、見ごたえもある。
 男子では、塩澤稀夕、小松陽平の東海大勢が資格記録上位を占める。昨年の覇者、同じ東海大の館澤亨次は、この大会での優勝を経て、日本選手権優勝まで駆け上がった。今年もそんなサクセスストーリーの序章が見られるか。また、皇學館大の川瀬翔矢がランキング5位。全日本大学駅伝50回の節目の年に、伊勢神宮ゆかりの皇學館大の若きエースが、まずは一つ、全国タイトルを狙いに行く。
 女子では、昨年この大会2位の工藤杏華(日本体育大)が資格記録トップ。昨年の日本IC3位、今年の関東IC2位の保坂野恋華(東京農業大)にも安定感がある。注目は京都産業大の橋本奈津。1年時にこの大会と日本ICの2冠を達成、全日本大学女子駅伝1区区間賞など鮮烈な印象を残したが、昨年は故障に苦しんだ。今年の関西IC優勝で復活。ストライドを生かした走りで2年ぶりの全国制覇へ。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1塩澤 稀夕東海大3:44.631工藤 杏華日本体育大4:19.90
2小松 陽平東海大3:44.862大谷 菜南子松山大4:23.26
3飯島 陸斗早稲田大3:45.303保坂 野恋花東京農業大4:24.75
4久納 碧法政大3:45.694土田 佳奈東京農業大4:25.33
5川瀬 翔矢皇學館大3:46.265白鳥 さゆり順天堂大4:25.71

5000m

 この大会唯一の長距離種目(競歩除く)。今や長距離種目は、言わずと知れた人気種目だが、梅雨時の蒸し暑さに選手が以下に対応していくかにも注目。
 男子は、ここ数年、青山学院大と東海大のマッチレースの様相を呈しているこの種目。今年も、両大学が主力を投入。特に、青山学院大は、箱根駅伝2区区間賞の森田歩希をはじめ、1月の箱根駅伝を走った選手は、卒業した選手を除き全員がエントリー。この両大学の争いに、ランキング2位の川瀬翔矢(皇學館大)ら、関東以外の大学の選手が絡んでくると面白くなってくる。ここ数年、青山学院大と東海大のマッチレースの様相を呈しているこの種目。今年も、両大学が主力を投入。特に、青山学院大は、箱根駅伝2区区間賞の森田歩希をはじめ、1月の箱根駅伝を走った選手は、卒業した選手を除き全員がエントリー。この両大学の争いに、ランキング2位の川瀬翔矢(皇學館大)ら、関東以外の大学の選手が絡んでくると面白くなってくる。
 女子では、一昨年の全日本大学女子駅伝を制した松山大のエース・緒方美咲に加え、昨年全日本大学女子駅伝1区で強烈な区間賞を獲得した五島莉乃(中央大)、学生歴代9位の自己記録を持つ佐藤成葉(立命館大)、関西ICにおいてその佐藤を含む並み居る強豪を破って連覇を果たした棚池穂乃香(京都産業大)ら、各校のエースがエントリー。エース同士のプライドとプライドがぶつかり合う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1橋詰 大慧青山学院大13:54.801緒方 美咲松山大15:39.11
2川瀬 翔矢皇學館大13:55.852五島 莉乃中央大15:42.06
3小野田 勇次青山学院大13:57.293加藤 優果中京学院大15:42.09
4西川 雄一朗東海大13:57.404佐藤 成葉立命館大15:43.49
5松尾 淳之介東海大13:57.755宮田 佳菜代新潟医療福祉大15:52.72

110mH・100mH

 ハードルの高さは、男子では大人の腰くらいの高さ(1.067m)。全身を目いっぱいに使ってハードルを超えていく姿は、迫力を感じさせる。
 男子110mHでは、昨年のユニバーシアード銀メダリスト、陳奎儒(国立体育大)が、今年のゴールデンGPで自身の持つ台湾記録をさらに更新する13秒49をマークするなど絶好調。昨年の日本IC2位の石川周平(筑波大)、学生歴代8位の記録を持つ栗城アンソニー(国際武道大)らが挑む構図か。最終学年となった高校記録・U20日本記録保持者、古谷拓夢(早稲田大)も、関東ICを初めて制するなど好調。
 女子100mHでは、日本IC2連覇中の小林紗矢香(愛知教育大)が、順当に行けば優勝候補筆頭。しかし、田中陽夏莉(山梨学院大)が、4月に学生歴代9位の13秒38をマーク。勢いそのまま関東ICも制し、全国タイトルも窺う。その田中が2位に入った2016年のIHで優勝したのが、関西IC覇者の田中佑美(立命館大)。関東と関西のICを制した「田中」同士の高校時代から続くライバル対決にも注目。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1陳 奎儒国立体育大13.501田中 陽夏莉山梨学院大13.38
2栗城 アンソニー国際武道大13.602小林 紗矢香愛知教育大13.45
3石川 周平筑波大13.673田中 佑美立命館大13.47
4古谷 拓夢早稲田大13.744謝 喜恩国立台湾師範大13.50
5藤井 亮汰順天堂大13.815堀池 香穂国士舘大13.51

400mH

 400mを走る間に10台のハードルを越える。スピードとハードル技術の両方が問われる。ハードル間を何歩で刻むかなどにも注目してみると、人それぞれで面白い。
 男子は、ランキングトップは、井上駆(順天堂大)。立命館大から順天堂大の大学院に進学し、5月の静岡国際でいきなり自身初の49秒台をマーク。その後、再度49秒台をマークした後は欠場が続いているが、実力はナンバーワン。一方、昨年の日本IC2位の山本竜大(日本大)は、強豪揃いの関東ICで優勝。勢いそのまま全国タイトル獲得なるか。余嘉軒(国立台湾体育運動大)は昨年4位。
女子では、吉田佳純(駿河台大)は、昨年の日本ICで58秒68をマークして2位。唯一58秒台の資格記録を持つ。資格記録で吉田に次ぐのが、ともに1年生で昨年のIH2位・3位の西村寧々花(立命館大)と大城楓奈(山形大)。昨年の小山佳奈(早稲田大)に続く1年生優勝も視野に入れる。また、大城が優勝すれば、山形大の選手としては、日本IC・学生個人を通じて初の全国タイトルとなる。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1井上 駆順天堂大49.541吉田 佳純駿河台大58.68
2余 嘉軒国立台湾体育運動大49.902西村 寧々花立命館大59.01
3山本 竜大日本大49.923大城 楓奈山形大59.17
4都 康炳同志社大50.324中原 みなみ甲南大59.41
5有田 英憲順天堂大50.435六反田 実優同志社大59.48

3000mSC

 3000mの中で障害物を28回、水郷を7回飛び越える、トラックで最も過酷な種目。
 男子では、資格記録トップの藤崎真伍(流通経済大)は、昨年のこの大会で優勝し、流通経済大の日本人選手としては、日本IC・学生個人を通じて、初めての学生全国タイトルを獲得した。昨年この大会4位の田村丈哉(帝京大)、今年の関西ICを自己記録で制した吉野駆流(大阪体育大)ら、追う選手との実力は拮抗しており、競り合うことによる好記録に期待したい。
 女子では、3連覇を果たした学生記録保持者・高見澤安珠(松山大)が卒業。その後を継いで女王となるのは、やはり松山大勢になるだろうか。昨年この大会と日本ICでともに2位、今年の中四国ICを制した岡田佳子、昨年の日本選手権6位入賞の高見沢里歩が、資格記録では一歩抜けている。関西IC覇者で昨年のこの大会と日本ICともに3位の信岡桃英(京都産業大)らが松山大の牙城を崩せるか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1藤崎 真伍流通経済大8:53.201岡田 佳子松山大10:05.26
2田村 丈哉帝京大8:54.052高見沢 里歩松山大10:05.81
3小嶋 一魁関西学院大8:56.083信岡 桃英京都産業大10:13.44
4吉野 駆流大阪体育大8:56.114秋山 祐妃大東文化大10:17.32
5須崎 乃亥東海大8:58.895西山 未奈美松山大10:17.38

10000mW

 今大会唯一の競歩種目。両足が同時にグラウンドから離れていないか(ロス・オブ・コンタクトになっていないか)、前脚が接地の瞬間から垂直の位置になるまでまっすぐに伸びているか(ベント・ニーになっていないか)、よく目を凝らして見てほしい。
 男子では、昨年、5000mWの日本高校記録を16年ぶりに更新した住所大翔(順天堂大)が、1年生ながら資格記録トップ。この種目で1年生優勝を飾れば、2007年の宇波栄樹(小松短大)以来11年ぶり。それに次ぐのが、昨年のこの大会を制した河岸良祐(東洋大)。住所・河岸とも兵庫・飾磨工高出身であり、先輩・後輩対決に注目。昨年2位の橋和生(早稲田大)は、最終学年で雪辱を期す。
女性では、東海学連勢に力がある。資格記録トップは本間汐音(中京大)。それに次ぐ資格記録を持つ園田世玲奈(中京大)は、4月に国内の主要競技会で初めて実施された全日本競歩輪島大会の女子50kmWの最初の覇者となった。その2人を東海ICで破ったのが、中部学院大の1年生・橋あぐり。昨年まで日本ICを4連覇した五藤怜奈(中部学院大)の系譜を継ぐことになるか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1住所 大翔順天堂大40:22.961本間 汐音中京大47:07.00
2河岸 良祐東洋大40:26.342園田 世玲奈中京大47:09.12
3橋 和生早稲田大40:35.883外所 知紗同志社女子大47:37.39
4森田 靖龍谷大40:47.664吉田 優海国士舘大47:50.00
5菅浪 裕也順天堂大40:49.315杉山 智香同志社大47:57.22
走高跳
 「高さの跳躍」と呼ばれる跳躍種目の1つ。助走のリズムと、スピードを高さに変える技術力、バーに触れずにマットに着地する身のこなしが重要。
 男子では、国立台湾体育運動大学の向俊賢は、2m29の台湾記録を持つ実力者。3年前に出した台湾記録を更新する2m30超えの大ジャンプが見られるか。対抗馬としては、日本ICを2度制している赤松諒一(岐阜大)、昨年の覇者・長谷川直人(新潟医療福祉大)に加え、5月の台湾国際でその向を破って優勝し、自己記録を更新して自信をつけている藤田渓太郎(立命館大)にも注目したい。
 女子では、香港から、1m88の香港記録を持つYEUNG Man Wai(香港大)が参戦。今季も既に5月に1m83をマークするなど安定した成績を残している。YEUNGを破ることができるとしたら、その候補の筆頭は仲野春花(早稲田大)か。2016年秋以降、今年の兵庫リレーカーニバルで敗れるまで、およそ1年半もの間日本人相手には無敗を誇った。日本女子走高跳界の若きエースが意地を見せられるか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1向 俊賢国立台湾体育運動大2m261YEUNG Man Wai1香港大1m88
2赤松 諒一岐阜大2m222仲野 春花早稲田大1m83
3長谷川 直人新潟医療福祉大2m213中西 美早日本女子体育大1m82
4中澤 優東海大2m204橋 渚日本大1m78
4藤田 渓太郎立命館大2m204神坂 莉子日本女子体育大1m77
棒高跳
 陸上競技の中で、最も「高い」場所で行われる種目。男子では5mをはるかに超える高さまで舞い上がり、見上げる高さのバーに触れもせずに超えていく。男子棒高跳は、フィールド種目で数少ない、日本が世界と戦える種目。
 男子では、江島雅紀(日本大)に記録の期待がかかる。高校記録を4度更新し、U20アジア記録も持つ逸材だが、昨年のこの大会を制して以降、日本選手権、日本IC、アジア選手権、関東ICと、大試合の2位が続く。勝利に飢えた怪物が、2013年のこの大会で山本聖途(中京大)が樹立した5m75の学生記録に挑む。中京大から日本体育大大学院に進んだ鈴木康太も学生歴代3位の記録を持つ実力者。
 女子では、関東ICを2年連続の大会タイ記録で制した諸田実咲(中央大)が唯一4m台の資格記録を持ちランキングトップ。2014年に竜田夏苗(武庫川女子大)がマークした4m01の大会記録に果敢に挑んで欲しい。昨年の日本ICで1位と同記録ながら無効試技数の差で2位と涙を呑んだ若園茜(筑波大)や昨年のこの大会を制した金治良佳(武庫川女子大)らも、虎視眈々とタイトルを狙う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1江島 雅紀日本大5m651諸田 実咲中京大4m00
2鈴木 康太日本体育大5m602若園 茜筑波大3m90
3石川 拓磨中京大5m302中林 麻奈日本体育大3m90
3榎 将太中京大5m302前川 淳日本体育大3m90
5窪田 大輝国際武道大5m262金治 良佳武庫川女子大3m90
走幅跳
 助走のスピードを跳躍力に変え、宙を舞って砂場に着地する。スピードが肝心だが、空中での姿勢や、1センチ単位での助走開始位置の調整など、細かな技術もものを言う。
 男子では、日本記録が出るかもしれない。橋岡優輝(日本大)は、5月の関東ICで、追い風参考ながら、日本記録を上回る8m30をマーク。公認での日本記録もしっかりと視界に捉えたことだろう。海風に乗り、1992年の森長正樹(日本大)の8m25以降止まった時計の針が動き出すか。昨年の日本IC3位で、今年は関東IC走幅跳3位、三段跳優勝と波に乗る川島鶴慎(順天堂大)にも力がある。
 女子では、昨年のこの大会3位の原田彩希(九州共立大)が資格記録トップ。それに次ぐ資格記録を持つのが、昨年の日本IC3位の山下友佳(立命館大)。原田・山下ともに、自己記録を出したのはこの大会。良いイメージのある大会で、平塚の追い風に乗り、好記録での全国タイトルに挑む。関東IC2連覇の神山綾音(日本体育大)にも力があり、拮抗した勝負から目が離せない。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1橋岡 優輝日本大8m051原田 彩希九州共立大6m11
2川島 鶴槙順天堂大7m922山下 友佳立命館大6m09
3林 家台北市立大7m893神山 綾音日本体育大6m07
4野村 智也東海大7m844漁野 理子早稲田大6m04
5石倉 南斗岐阜経済大7m825坂東 あすか横浜国立大6m02
5佐々木 明日香青山学院大6m02
三段跳
 ホップ・ステップ・ジャンプの三段のリズムで、10mを超える距離を稼ぐ。よく観察すると、人によってホップ・ステップ・ジャンプそれぞれで稼ぐ距離の割合も微妙に違っており、そういった細かな違いに目を向けるのも醍醐味の一つ。
 男子は、ランキングトップは岡林隼矢(びわこスポーツ大)。昨年の西日本ICでマークした16m07を引っ提げ、今年はゴールデンGPにも出場するなど経験、自信を積んできた。岡部優真(福岡大)は、2011年と12年のこの大会を制しており、大学を卒業し、実業団の九電工に進んだ後で大学院に入り直した経歴を持つジャンパー。優勝すれば、大会史上初の同一選手の「6年ぶりの優勝」となる。
女子では、昨年の日本ICで、最終跳躍で初の13m超えとなる自己新をマークし、2位と1cm差の劇的な優勝を飾った河合栞奈(大阪成蹊大)がランキングトップ。今年は関西ICを欠場するなど不安を残すが、実力はナンバーワン。昨年の国体少年優勝の中村紗華(順天堂大)、U20日本選手権優勝の金子史絵奈(青山学院大)ら、1年生がランキング10位以内に6人。若い力の台頭にも期待。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1岡林 隼矢びわこスポーツ大16m071河合 栞奈大阪成蹊大13m05
2岡部 優真福岡大16m062江 慧h国立台湾師範大12m93
2李 奎龍私立長榮大16m063中村 紗華順天堂大12m86
4竹之内 優汰順天堂大16m044宮川 杏奈山梨学院大12m66
5井関 慶人東海大16m014柳川 かれん立命館大12m66
砲丸投
 世界レベルの選手でも20m程度の記録と、投てき種目の中では、地味に思われがちな種目。しかし、砲丸の重さは男子で7.260kgとハンマー投と並んで最も重いため、パワーが非常にものを言う豪快さが魅力でもある。一方、人によって回転投法かグライド投法かが異なるなど、細かい技術面にも注目したい。
 男子では、学生歴代10位の17m46を持つ川口哲生(日本大)が唯一17m台の資格記録を持ち、実力で一歩抜きんでている。今年は関東ICも2連覇も果たし順調。今年は日本記録が出るなど活況を呈するこの種目。昨年樹立された学生歴代4位の大会記録17m90に迫る好記録を期待したい。ランキング2位の林祐霆が17m台の自己記録をマークし、川口を脅やかせば、勝負の行方は分からなくなる。
 女子では、昨年の日本選手権・日本ICチャンピオン、郡菜々佳(九州共立大)が2年ぶりの優勝に挑む。高校記録・U20日本記録を持つ逸材が次に照準を定めるのは、2002年に森千夏(国士舘大)がマークした「不滅」の学生記録17m39か。ランキング2位の尾山和華(福岡大)は、中学記録・U18日本記録保持者。郡と尾山、数々の記録を塗り替え続けてきた「レコードホルダー」対決にも注目。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1川口 哲生日本大17m461郡 菜々佳九州共立大16m57
2林 祐霆台北市立大16m912尾山 和華福岡大15m57
3飛松 功福岡大16m393齋藤 友里筑波大14m98
4杉本 仁中京大15m834西川 チカコ福岡大14m86
5風張 鼓太郎国士舘大15m775伊知地 千奈筑波大14m60
円盤投
 ハンマー投と並んで、ネットに囲まれたサークル内でターンをして円盤を遠くに飛ばす。教科書などで、よく円盤投をしている男性の像の写真が掲載されるように、古代オリンピックからあった歴史ある種目。円盤の重さは、男子2kg、女子1kg。
 男子は、資格記録トップは、連覇を狙う安藤夢(東海大)。大学2年時にマークした自己記録54m92は学生歴代7位。最終学年での自己記録更新にも期待したい。関東ICで、その安藤と激闘の末、自己記録で優勝を果たしたのが、ランキング2位の松井俊樹(国士舘大)。関東ICと同様、熱闘が繰り広げられそう。昨年2位の高倉星也(新潟医療福祉大)は、この種目の北信越勢初制覇を狙う。
女子では、郡菜々佳(九州共立大)が砲丸投との2冠に挑む。同種目の2冠となれば、2013年の中田恵莉子(中京大)以来5年ぶり。砲丸投と円盤投が同日に行われていた当時と比べれば、砲丸投で学生歴代2位、円盤投で学生歴代4位の記録を持つ郡にとって、達成のハードルはそう高くないかもしれない。それを阻むのは、昨年の日本IC・日本選手権を制した女王・辻川美乃利(筑波大)か。
【資格記録上位ランキング】
石井 明日夏
男子女子
1安藤 夢東海大54m011郡 菜々佳九州共立大54m26
2松井 俊樹国士舘大52m802辻川 美乃利筑波大52m56
3高倉 星也新潟医療福祉大51m753東京女子体育大50m19
4首藤 大輝日本大51m694川口 紅音日本体育大49m16
5飛松 聡九州共立大51m045芳賀 鼓東京女子体育大48m45
ハンマー投
 室伏広治の活躍などで、一番なじみのある投てき種目かもしれない。男子7.260kg、女子4kgのハンマーを60m以上飛ばすには、上半身と下半身のバランスのとれた身体能力が不可欠。なお、ハンマー投のみは、東海大学湘南校舎陸上競技場で行われる。
 男子では、昨年のこの大会、学生史上4人目の70mオーバーとなる70m05の大会新記録が樹立された。しばらく破られないと思われたこの記録だが、もしかしたら1年で更新されるかもしれない。木村友大(九州共立大)が、昨年9月に70m06の大記録をマーク。今年も既に69m台の投てきを放っている。別会場の東海大で行われるこの種目だが、随時行われるアナウンスを聞き逃してはならない。
 女子では、学生史上6人しかいない60m超えの記録を持つ関口清乃(筑波大)が、優勝候補筆頭。進修館高時代に高校記録を打ち立てた逸材が、3年生にして学生全国初タイトルに挑む。同学年の小舘充華(流通経済大)と桑原翠(九州共立大)は、2016年の日本ジュニア以降、昨年のこの大会・日本IC・国体・U20日本選手権と、主要全国大会全てで順位が1つ違いという不思議なライバル関係。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1木村 友大九州共立大70m061関口 清乃筑波大60m08
2古旗 崇裕中京大66m422小舘 充華流通経済大59m28
3奥村 匡由流通経済大66m063洪 e?国立台湾師範大59m21
4東浦 貫太中京大64m734桑原 翠九州共立大58m05
5北亦 将成流通経済大63m915メイン 桜九州共立大57m73
やり投
 近年日本男子の活躍が著しい種目。男子800g、女子600gのやりを投げる。一番「投げている」感はあるが、実は、素人ではまっすぐ投げる事さえ難しい。
 男子では、資格記録トップは76m36を持つ佐道隼矢(東海大)だが、2位の九州IC覇者・松藤圭汰(九州共立大)をはじめ、資格記録差3m以内に6人の選手がひしめく混戦模様。昨年79m42の大会新記録でこの大会を制した鄭兆村(私立輔仁大)は、2か月後、アジア人初の90m超えを果たした。この大会をステップに世界トップレベルへ。それは、日本人選手にとっても決して夢物語ではない。
 女子では、山下実花子(九州共立大)が、学生史上3人目の60m超えに挑む。昨年の国体で、学生歴代3位の59m94の自己記録をマーク。大台まではあと6cm。今季も既に九州ICで58m16、5月の台湾国際では57m83の大会新記録で優勝と、いつ壁を破ってもおかしくない。瀧川寛子(中京大)は、東大阪大の学部生時代の2016年に自己記録をマークしたこの大会で、2年ぶりの全国タイトルを狙う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1佐道 隼矢東海大76m361山下 実花子九州共立大59m94
2松藤 圭汰九州共立大75m912瀧川 寛子筑波大56m31
3水野 佑哉岐阜経済大74m583中田 寛乃国士舘大54m69
4河野 充志九州共立大74m214大城 まゆ京都教育大54m57
5石坂 力成大阪体育大73m985桑添 友花九州共立大54m50