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The Inter-University Athletics Union of Japan

種目ごとの観戦ポイント

100m

 スタート前の一瞬の静寂。号砲と同時に解き放たれる10秒間の力の爆発。まさに、陸上競技の花形といえるこの種目。
 男子は、リオ五輪代表で、6月の日本学生個人で10秒01の日本学生新記録をマークした桐生祥秀(東洋大)が優勝候補の大本命。リオ五輪予選敗退の悔しさを晴らすべく、2連覇に向け視界は良好。日本人初の9秒台にも期待したい。今季自己記録を出すなど好調のの大瀬戸一馬(法政大)も虎視眈々とタイトルを狙う。多田修平(関西学院大)ら、関東以外の選手の活躍にも期待。
 女子は、本命不在の混戦が予想される。資格記録では、11秒56を持つ土井杏南(大東文化大)と宮澤有紀(富山大)がトップで並ぶが、ともに6月の日本選手権では決勝進出を逃した。一方、今季好調なのが、日本学生個人を制した前山美優(新潟医療福祉大)。同大学に初の日本IC金メダルをもたらすのか。エドバー・イヨバ(日本大)、壹岐いちこ(立命館大)ら強力な1年生にも注目。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1桐生 祥秀東洋大10.011土井 杏南大東文化大11.56
2大瀬戸 一馬法政大10.191宮澤 有紀富山大11.56
2長田 拓也法政大10.193エドバー イヨバ日本大11.66
4竹田 一平中央大10.273前山 美優新潟医療福祉大11.66
4多田 修平関西学院大10.273壹岐 いちこ立命館大11.66

200m

 スプリントの花形、100mに比べて地味な印象のこの種目だが、実は、曲走路の走りが勝負を分ける、速さと技術がものを言う味のある種目でもある。
 男子は、今季20秒55の自己記録をマークした大瀬戸一馬(法政大)がランキングトップ。桐生祥秀(東洋大)は、100mとの2冠を狙う。大瀬戸、昨年の覇者である長田拓也(法政大)に加え、谷口耕太郎(中央大)・諏訪達郎(中央大)と、昨年の光州ユニバーシアード4×100mRの金メダルメンバーが揃い踏み。川瀬孝則(日本体育大)も今季好調。史上最高レベルの決戦の幕切れは。
 女子は、昨年の覇者・青山聖佳(大阪成蹊大)が今年も優勝候補の大本命。2年連続で400mとの2冠に挑む。資格記録上位4名を大阪成蹊大と甲南大が2名ずつ分け合い、関西勢のハイレベルな争いが期待される。日本学生個人を制した松田優美(環太平洋大)は、中四国学連所属選手としては32年ぶりのこの種目制覇を狙う。土井杏南(大東文化大)ら関東勢がどれだけ迫れるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1大瀬戸 一馬法政大20.551青山 聖佳大阪成蹊大23.68
2桐生 祥秀東洋大20.562永野 真莉子甲南大23.96
3長田 拓也法政大20.573中村 水月大阪成蹊大23.99
4川瀬 孝則日本体育大20.654三宅 真理奈甲南大24.01
5山下 潤筑波大20.675土井 杏南大東文化大24.02

400m

 短距離種目では最長のこの種目。トラック1周を50秒以内で駆け抜けるが、最後の直線は、選手にとっては永遠に感じられると言う。
 男子は、リオ五輪代表のウォルシュ・ジュリアン(東洋大)が優勝候補筆頭。日本選手権では、五輪標準記録を突破する45秒35をマークして優勝を飾った。2連覇を狙う北川貴理(順天堂大)、一昨年の王者・加藤修也(早稲田大)、佐藤拳太郎(城西大)は、リオ五輪4×400mR代表。日本選手権は学生が上位を独占し、今大会も日本トップレベルの激戦が予想される。
 女子は、青山聖佳(大阪成蹊大)が、2連覇に向けて視界良好。今年は日本選手権も制し、名実ともに日本のトップの座をほしいままにしている。その青山を関西ICで0.15秒差まで追い詰めたのが、1年生の石塚晴子(東大阪大)。うまく走れば、400mHとの2冠も期待できる。さらに、今季好調の樫山楓(至学館大)は、3位に入った日本選手権を上回る走りをすれば、頂点が見えてくる。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1ウォルシュ ジュリアンジャミィ東洋大45.351青山 聖佳大阪成蹊大53.04
2北川 貴理順天堂大45.522石塚 晴子東大阪大53.22
3加藤 修也早稲田大45.713樫山 楓至学館大53.76
4小林 直己東海大45.914岩田 優奈中央大53.79
5佐藤 拳太郎城西大46.305佐藤 日奈子大東文化大54.00

800m

 400mトラックを2周。最初から引っ張るか、最後のスパートに賭けるかなど、駆け引きが非常に重要な種目で、心技体すべてが要求される。
 男子は、昨年の覇者・新安直人(順天堂大)がランキングトップ。日本学生個人では、チャイニーズ・タイペイの選手には敗れたものの日本人トップは確保。関東IC1部で1年生ながら優勝を飾った西久保達也(早稲田大)は、前日本記録保持者・横田真人(慶應義塾大)以来の1年生優勝を狙う。関東IC2部覇者の大木学(千葉大)は、全種目通して同大学初の日本ICチャンピオンを狙う。
 女子は、今季最も良いタイムを出しているのは、北村夢(日本体育大)。ゴールデンGPでマークした2分4秒57は学生歴代8位の好記録。日本IC初制覇を狙う。対抗馬は、同じく2分4秒台の記録を持つ卜部蘭、昨年の日本選手権・日本ICを制し、今年も日本選手権で2位に入るなど勝負強い山田はなの東京学芸大コンビか。医学生・広田有紀(秋田大)は、同大学初の日本IC覇者を目指す。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1新安 直人順天堂大1:48.321北村 夢日本体育大2:04.57
2西久保 達也早稲田大1:48.402卜部 蘭東京学芸大2:04.86
3三武 潤日本大1:48.563広田 有紀秋田大2:05.63
4渡辺 崇臣日本体育大1:48.904山田 はな東京学芸大2:06.00
5市野 泰地岐阜経済大1:48.925平野 綾子筑波大2:06.13

1500m

 800mと同様に、頭を使うことも要求される種目。4分間の間に先頭の入れ替わりやスパート合戦など、さまざまな展開が繰り広げられ、見ごたえもある。
 男子は、昨年の日本選手権者・荒井七海(東海大)が資格記録トップ。その荒井を日本学生個人で上回ったのが、ラザラス・モタンヤ(桜美林大)と阪口竜平(東海大)。2連覇を狙う井上弘也(上武大)、今年の日本選手権で学生として唯一入賞を果たした仲村尚毅(関西学院大)ら、上位選手の力の差は小さく、展開次第でどの選手にも勝ち目がある。
 女子は、昨年のIHで800m・1500mの2冠を達成した向井智香(名城大)が、大学でも全国タイトルを狙う。対するは、関東ICを制し、日本選手権でも学生トップの5位に入った上田未奈(城西大)。昨年3位の実力者が、今年は表彰台の真ん中を狙う。さらに、関東ICでは上田の後塵を拝した小枝理奈(大東文化大)も実力的にはひけをとらず、混戦は必至か。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1荒井 七海東海大3:43.471向井 智香名城大4:16.76
2安齋 宰順天堂大3:43.582上田 未奈城西大4:17.08
3阪口 竜平東海大3:43.883小枝 理奈大東文化大4:17.54
4井上 弘也上武大3:44.124内山 千夏玉川大4:19.26
5林 竜之介東海大3:44.175康本 花梨日本体育大4:21.81

5000m

 400mトラックを12周半。今や長距離種目は、言わずと知れた人気種目だが、9月の猛暑に選手がいかに対応していくかにも注目。
 男子は、関東IC長距離2冠のパトリック・マゼンゲ・ワンブィ(日本大)が、日本ICでも2冠を狙う。日本大の総合5連覇に向けた得点源となれるか。対するは、関東ICでワンブィに次ぐ2位につけた平和真(早稲田大)、昨年の日本ICで最後まで優勝争いを演じた一色恭志(青山学院大)。鬼塚翔太・館澤亨次・關颯人と、力のある1年生を揃えてきた東海大も、勢いに乗れば面白い。
 女子は、大森菜月(立命館大)と新井沙紀枝(大阪学院大)が優勝争いの軸。1年生・2年生とこの大会2連覇を果たした大森と、その大森を昨年破った新井。今季も、新井が関西ICを制すると、大森は日本選手権で2年連続入賞を果たすなどお互い譲らない。そこに、7月にベストを出すなど伸び盛りの1年生・関谷夏希(大東文化大)や昨年3位の廣瀬亜美(関西大)らがどこまで絡めるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1Patrick MathengeWambui日本大13:27.631大森 菜月立命館大15:28.32
2平 和真早稲田大13:38.642関谷 夏希大東文化大15:33.95
3一色 恭志青山学院大13:39.653新井 沙紀枝大阪学院大15:40.64
4鬼塚 翔太東海大13:43.614廣瀬 亜美関西大15:45.38
5坂口 裕之明治大13:45.735棟久 由貴東京農業大15:49.37

10000m

 今大会では最長の競走種目。400mトラックを25周という長丁場だが、それを感じさせないほど目まぐるしく勝負の駆け引きが行われる。長距離選手には厳しい残暑が予想され、暑さへの対応力も問われる。
 男子は、パトリック・マゼンゲ・ワンブィ(日本大)が2連覇に挑む。昨年の日本IC・今年の関東ICと負けなしのワンブィに、両大会で2位のドミニク・ニャイロ(山梨学院大)がどこまで対抗できるか。日本勢では、3000mSCとの2冠も狙える、関東IC日本人トップの塩尻和也(順天堂大)らに注目。10年ぶりの日本人優勝にも期待したい。
 女子は、昨年まで2連覇を果たした鍋島莉奈(鹿屋体育大)が卒業し、今年は混戦必至。そんな中、7月に今季学生トップの31分台をマークしたのが、東京農業大の1年生・棟久由貴。久馬悠(筑波大)以来の1年生優勝の期待もかかる。上原明悠美(松山大)、唐沢ゆり(日本体育大)、菅野七虹(立命館大)ら、ここ数年の学生女子長距離界を引っ張ってきた精鋭がそれに待ったをかけるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1Patrick MathengeWambui日本大27:54.981棟久 由貴東京農業大31:58.71
2Diminic・Nyairo山梨学院大27:56.472上原 明悠美松山大32:36.25
3廣田 雄希東海大28:30.763唐沢 ゆり日本体育大32:40.81
4塩尻 和也順天堂大28:32.854松田 杏奈松山大32:54.41
5町澤 大雅中央大28:43.515菅野 七虹立命館大32:55.97

110mH・100mH

 ハードルの高さは、男子では大人の腰くらいの高さ(1.067m)。全身を目いっぱいに使ってハードルを超えていく姿は、迫力を感じさせる。
 男子は、関西ICで13秒72の自己記録をマークした鍵本真啓(立命館大)がランキングトップ。関西学連所属の選手が優勝すれば、1986年の手平裕紀(同志社大)以来実に30年ぶりとなる。古谷拓夢(早稲田大)は、7月のU20世界選手権でU20アジア記録をマークし、この種目日本人初のメダルを獲得。高山峻野(明治大)は昨年の日本選手権者。混戦が予想され、1つのミスが勝敗を分けそう。
 女子は、下級生の頃から学生トップレベルの実力を保持しながらこの大会では力を発揮しきれていなかった青木益未(環太平洋大)が、最終学年で悲願の初優勝を狙う。対するは、昨年2位の田中杏梨(甲南大)。ともに、競り合って記録を伸ばせば、13秒15の学生記録も狙える実力を持つ。実学対抗を制したヘンプヒル恵(中央大)も、七種競技の疲労をはねのければ王座を狙える。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1鍵本 真啓立命館大13.721青木 益未環太平洋大13.28
2古谷 拓夢早稲田大13.732田中 杏梨甲南大13.30
2高山 峻野明治大13.733ヘンプヒル 恵中央大13.38
4金井 大旺法政大13.774安部 遥香福島大13.43
5栗城 アンソニー国際武道大13.845中村 有希関西大13.46

400mH

 400mを走る間に10台のハードルを越える。スピードとハードル技術の両方が問われる。ハードル間を何歩で刻むかなどにも注目してみると、人それぞれで面白い。
 男子は、2連覇中の橋本孝興(日本大)が、ここ2年勝負強さを発揮している。日本ICに合わせてくる能力は随一で、成迫健児(筑波大)以来の3連覇に挑む。資格記録トップは、関東IC覇者の中野直哉(早稲田大)。実学対抗でリオ五輪ブラジル代表の杉町マハウを破った野口直人(順天堂大)にも勢いがある。49秒台の資格記録を持つ選手が5名おり、競り合って記録を伸ばしたい。
 女子は、石塚晴子(東大阪大)が、日本記録保持者の久保倉里美(福島大)も成し遂げなかった1年生優勝に挑む。ゴールデンGPではジュニア日本新記録をマークし、その後も関西IC優勝、日本選手権3位など実績を積み重ねてきた。対するは、王子田萌・梅原紗月の立命館大コンビか。特に王子田は今季57秒台に突入し、日本選手権でも石塚と0.01秒差の4位に入るなど力を伸ばしている。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1中野 直哉早稲田大49.511石塚 晴子東大阪大56.75
2田辺 将大良中央大49.642王子田 萌立命館大57.89
3野口 直人順天堂大49.773梅原 紗月立命館大58.02
4橋本 孝興日本大49.894福部 真子日本体育大58.26
5渡部 佳朗城西大49.965宮崎 紗希中央大58.51

3000mSC

 3000mの中で障害物を28回、水郷を7回飛び越える、トラックで最も過酷な種目。
 男子は、リオ五輪代表の塩尻和也(順天堂大)が優勝候補の大本命。日本選手権では惜しくも敗れたが、序盤から飛ばしていく積極性が魅力。37年間更新されていない最古の日本学生記録・新宅雅也(日本体育大)の8分25秒8を更新し、新たな時代の扉をこじ開けたい。日本学生個人に大会新記録で2連覇を飾った宮城壱成や関東IC2位の石橋安孝ら東海大勢がそれに続く。
 女子は、高見澤安珠(松山大)の初優勝はほぼ間違いないか。日本選手権では、途中転倒しながらも意地の走りで優勝を飾り、リオ五輪の切符も手に入れた。自らの持つ日本学生記録、さらには9分33秒93の日本記録の更新ももはや時間の問題か。それに続くのが、10分を切る資格記録を持つ瀬川帆夏(大東文化大)、昨年の覇者・三島美咲(松山大)ら。まだ歴史の浅いこの種目の底上げに期待。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1塩尻 和也順天堂大8:31.891高見澤 安珠松山大9:44.22
2石橋 安孝東海大8:48.722瀬川 帆夏大東文化大9:58.81
3宮城 壱成東海大8:49.183三島 美咲松山大10:05.94
4小室 翼東洋大8:49.524清水 萌衣乃東京農業大10:06.37
5中野 光大東文化大8:50.325北本 可奈子名城大10:08.05

10000mW

 今大会唯一の競歩種目。両足が同時にグラウンドから離れていないか(ロス・オブ・コンタクトになっていないか)、前脚が接地の瞬間から垂直の位置になるまでまっすぐに伸びているか(ベント・ニーになっていないか)、よく目を凝らして見てほしい。
 男子は、リオ五輪20kmWで日本人として初めての入賞を果たした松永大介(東洋大)が連覇に挑む。関東ICで自らがマークした38分18秒76の日本学生記録の更新にも期待がかかる。東洋大勢は、河岸良祐、及川文隆も資格記録で3位・4位につけ、上位独占を狙う。ランキング2位の山西利和(京都大)、昨年のユニバーシアード代表の野田明宏(明治大)らは、東洋大勢の席巻を阻止したい。
 女子は、1年生のときから学生の主要大会負けなしの五藤怜奈(中部学院大)が連勝記録を伸ばしそう。ランキング2位の溝口友己歩(早稲田大)とは資格記録で1分以上の差があり、3連覇はほぼ間違いなさそう。自己記録を更新するレースをすれば、大会新記録、その先にある日本学生記録も見えてくる。溝口、八木望(東京学芸大)らは、五藤の独壇場に何とか一矢報いたい。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1松永 大介東洋大38:18.761五藤 怜奈中部学院大45:13.53
2山西 利和京都大39:28.632溝口 友己歩早稲田大46:19.49
3河岸 良祐東洋大39:39.493高山 瑞佳新潟医療福祉大46:30.15
4及川 文隆東洋大39:59.024八木 望東京学芸大46:47.29
5野田 明宏明治大40:00.095熊谷 菜美国士舘大47:10.09
走高跳
 「高さの跳躍」と呼ばれる跳躍種目の1つ。助走のリズムと、スピードを高さに変える技術力、バーに触れずにマットに着地する身のこなしが重要。
 男子は、昨年の世界選手権代表・平松祐司(筑波大)が実力ではナンバーワン。しかし、今季は故障の影響もあり、思うような跳躍ができていない。昨年の関東ICで見せた目の覚めるような跳躍を再び見せられるか。平松が実力を発揮できなければ、日本選手権で自己記録を更新し2位入賞を果たした佐藤凌(東海大)、昨年の王者・赤松諒一(岐阜大)らが優勝争いをするだろう。
 女子は、絶対的な力を持つ選手はおらず、混戦模様。資格記録トップは、昨年10月に1m82をマークした秦澄美鈴(武庫川女子大)。今年の関西ICでも優勝を飾った。それに迫るのが、今年の日本選手権でともに3位入賞を果たした津田シェリアイ(東大阪大)と仲野春花(早稲田大)。仲野は昨年の日本IC2位。石岡柚季・中西美早と力のある1年生コンビを揃えた日本女子体育大にも注目。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1平松 祐司筑波大2m281秦 澄美鈴武庫川女子大1m82
2佐藤 凌東海大2m252津田 シェリアイ東大阪大1m81
3松本 修一福岡大2m243仲野 春花早稲田大1m80
4中澤 優東海大2m224石岡 柚季日本女子体育大1m79
5中島 大輔日本大2m215平元 香葉天理大1m78
5大田 和宏金沢星稜大2m215徳本 鈴奈福岡大1m78
5真野 友博福岡大2m21
棒高跳
 陸上競技の中で、最も「高い」場所で行われる種目。男子では5mをはるかに超える高さまで舞い上がり、見上げる高さのバーに触れもせずに超えていく。男子棒高跳は、フィールド種目で数少ない、日本が世界と戦える種目。
 男子は、資格記録では、5m40で5名が並ぶ。その中では、昨年の覇者・山本智貴(日本体育大)が経験の面で一歩先んじているか。しかし、抜きん出た選手はおらず、混戦は必至。今季は高校生でも江島雅紀(荏田高)が5m43の高校新記録を記録しており、5m40では記録的には物足りない。拮抗した実力で競り合う中で自己記録を更新し、5m60の大会記録に迫るような跳躍を見せてほしい。
 女子は、昨年3位の青柳唯(鹿屋体育大)が3m91でランキングトップ。同大学では仲田愛以来6年ぶりとなるこの種目の優勝に挑む。昨年4位の那須眞由(園田学園女子大)も、青柳とほぼ互角の3m90の資格記録を持つ。今年の日本選手権では学生唯一の入賞を果たした。6月の日本学生個人で青柳を同記録ながら破った鈴木里菜(日本体育大)も、タイトルを狙える位置につける。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1来間 弘樹順天堂大5m401青柳 唯鹿屋体育大3m91
1山本 智貴日本体育大5m402那須 眞由園田学園女子大3m90
1澤 慎吾日本大5m403久保 愛菜清和大3m80
1小木曽 優作中京大5m403鈴木 里菜日本体育大3m80
1鈴木 康太中京大5m403間宮 里菜中京大3m80
3金治 良佳武庫川女子大3m80
3稲艸 夏姫環太平洋大3m80
走幅跳
 助走のスピードを跳躍力に変え、宙を舞って砂場に着地する。スピードが肝心だが、空中での姿勢や、1センチ単位での助走開始位置の調整など、細かな技術もものを言う。
 男子は、7月の実学対抗で8m01を記録した城山正太郎(東海大北海道)に勢いがある。北海道学連所属の選手として41年ぶり2人目の選手権獲得に挑む。同じく8mジャンパーの政知也(順天堂大)・山川夏輝(日本大)もはまった時の爆発力が魅力。成定駿介(関西学院大)は8月に追い風2.1mで8mを超える跳躍を経験しており、関西学連所属の選手として史上2人目の公認8mに挑む。
 女子は、資格記録トップは、七種競技・110mHでも優勝を狙うヘンプヒル恵(中央大)。6月の日本選手権で自己記録となる6m28をマークして2位に入った。対して、関西ICでは主将として大阪成蹊大を初の総合優勝に導き、6月の日本学生個人で初の学生全国タイトルを獲得した末永成美、昨年の日本ICの覇者・福西穂乃佳(京都教育大)らがヘンプヒルの多種目優勝を阻止できるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1政 知也順天堂大8m031ヘンプヒル 恵中央大6m28
2城山 正太郎東海大北海道8m012末永 成美大阪成蹊大6m24
3山川 夏輝日本大8m003辻本 愛莉香大阪成蹊大6m20
4野村 智也東海大7m864小山 晶立命館大6m18
5佐久間 滉大法政大7m825山下 友佳立命館大6m16
三段跳
 ホップ・ステップ・ジャンプの三段のリズムで、10mを超える距離を稼ぐ。よく観察すると、人によってホップ・ステップ・ジャンプそれぞれで稼ぐ距離の割合も微妙に違っており、そういった細かな違いに目を向けるのも醍醐味の一つ。
 男子は、リオ五輪代表の山下航平(筑波大)が16m85の資格記録を持つ。大会記録は、父で日本記録保持者の山下訓史(筑波大)が持つ16m92。30年以上更新されていない大会記録に記録の上では肉薄した。安定感が課題だが、爆発力を発揮すればさらなる記録更新にも期待がかかる。一方、2連覇に挑む山本凌雅(順天堂大)は日本選手権も制しており、実績の上でも実力の上でも優勝候補筆頭。
 女子は、昨年2位の森本麻里子(日本女子体育大)が資格記録トップ。6月の日本選手権でも学生トップの4位に入った。その森本を関東ICで1cm差で破ったのが剱持早紀(筑波大)。総合優勝を狙う同大学のために、1つでも良い順位を目指す。さらに、永山優・河合栞奈の大阪成蹊大コンビも、森本と2cmしか変わらない資格記録を持ち、タイトル奪取に向けて準備は万端。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1山下 航平筑波大16m851森本 麻里子日本女子体育大12m85
2山本 凌雅順天堂大16m682永山 優大阪成蹊大12m83
3池畠 旭佳瑠東海大16m202河合 栞奈大阪成蹊大12m83
4斎田 将之介関西学院大16m174剱持 早紀筑波大12m66
5原田 睦希立命館大16m165中澤 希緒早稲田大12m60
砲丸投
 世界レベルの選手でも20m程度の記録と、投てき種目の中では、地味に思われがちな種目。しかし、砲丸の重さは男子で7.260kgとハンマー投と並んで最も重いため、パワーが非常にものを言う豪快さが魅力でもある。一方、人によって回転投法かグライド投法かが異なるなど、細かい技術面にも注目したい。
 男子は、昨年の王者・鈴木愛勇、今年の関東IC王者・武田歴次と、日本大勢が資格記録上位を占める。表彰台を独占した昨年の関東ICのような活躍を見せれば、総合5連覇が大きく近づくことになる。昨年の日本IC・今年の関東ICと表彰台に上がっている森下大地(筑波大)・村上輝(国士舘大)は、今回こそ表彰台の一番高いところに上がりたい。
 女子は、郡菜々佳(九州共立大)と太田亜矢(福岡大)の九州コンビが、この種目をここ数年最高のレベルに押し上げている。九州ICで1年生ながら学生史上4人目の16m台に突入する16m19の記録で優勝を飾った郡と、その郡を日本選手権で下し、7月の実学対抗で5人目の16mプッターとなった太田。日本記録保持者の森千夏(国士舘大)以来14年ぶりの16m台での決着に期待が高まる。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1武田 歴次日本大17m501郡 菜々佳九州共立大16m19
2鈴木 愛勇日本大17m282太田 亜矢福岡大16m12
3森下 大地筑波大17m253長沼 瞳国士舘大15m09
4村上 輝国士舘大16m844山本 遥大阪体育大14m65
5赤間 祐一筑波大16m735西川 チカコ福岡大14m54
5北尾 友靖福岡大16m73
円盤投
 ハンマー投と並んで、ネットに囲まれたサークル内でターンをして円盤を遠くに飛ばす。教科書などで、よく円盤投をしている男性の像の写真が掲載されるように、古代オリンピックからあった歴史ある種目。円盤の重さは、男子2kg、女子1kg。
 男子は、昨年の日本ICは、東海大勢が表彰台を独占。その中で、1位の米沢茂友樹・2位の安藤夢が今年の資格記録ランキングでも1位・2位を占める。日本学生個人・関東IC2位の吉田惇も擁し、2年連続の表彰台独占も夢ではない。対するは、高校時代から超高校級の活躍を見せ、今年四国大に進学した幸長慎一。もし優勝すれば、中四国学連所属選手ではこの種目初の栄冠となる。
 女子は、昨年の王者・藤森夏美(順天堂大)が連覇に挑む。今年も関東IC・日本学生個人を制し、日本選手権でも学生トップの3位入賞を果たすなど、学生相手では向かうところ敵なしといったところ。その藤森に対抗しうるのが、砲丸投との2冠を狙う郡菜々佳(九州共立大)。砲丸投・円盤投の両種目で高校記録をマークして入学してきた学生ルーキーが38年ぶりの快挙を果たすか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1米沢 茂友樹東海大57m831藤森 夏美順天堂大52m97
2安藤 夢東海大54m922郡 菜々佳九州共立大52m14
3幸長 慎一四国大54m153辻川 美乃利筑波大49m49
4谷口 真太郎国士舘大53m204山本 実果中京大49m33
5吉田 惇東海大53m145石井 明日夏東京女子体育大49m05
ハンマー投
 室伏広治の活躍などで、一番なじみのある投てき種目かもしれない。男子7.260kg、女子4kgのハンマーを60m以上飛ばすには、上半身と下半身のバランスのとれた身体能力が不可欠。
 男子は、ランキングトップは、日本学生個人に学生歴代4位の好記録で優勝を飾った植松直紀(中京大)。昨年のこの大会・今年の日本選手権でも2位を占めており、実力は十分。自己記録を更新すれば、学生史上4人目の70m台も夢ではない。対抗馬は、内堀弘樹・木村友大の九州共立大勢。日本学生個人ではそれぞれ2位・3位であり、男子として同大学初の日本ICチャンピオンを狙う。
 女子は、勝山眸美(筑波大)が2年ぶりの優勝を狙う。昨年は3位に終わり、大学としても1点差で総合優勝を逃しただけに、優勝にかける思いは強い。7月にマークした63m82は学生歴代2位。あと61cmに迫った日本学生記録更新にも期待がかかる。関東ICで勝山とともに筑波大勢で表彰台を独占した江原宇宙と関口清乃、日本学生個人覇者の本村夏鈴(九州共立大)は大物食いを狙う。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1植松 直紀中京大69m711勝山 眸美筑波大63m82
2内堀 弘樹九州共立大67m152本村 夏鈴九州共立大58m22
3木村 友大九州共立大67m143江原 宇宙筑波大57m75
4根本 太樹流通経済大66m804吉川 奈緒福岡大57m56
5墨 訓煕中京大66m795関口 清乃筑波大57m35
やり投
 近年日本男子の活躍が著しい種目。男子800g、女子600gのやりを投げる。一番「投げている」感はあるが、実は、素人ではまっすぐ投げる事さえ難しい。
 男子は、関東IC優勝の佐道隼矢(東海大)がトップの資格記録を持つ。日本学生個人覇者の中村克也(九州共立大)、昨年の日本IC2位、今年の日本選手権でも学生トップの4位に入っている小椋健司(日本大)らがそれを追う。昨年の関東ICチャンピオン・森秀(日本大)、昨年日本IC3位の河野充志(九州共立大)など、まさに群雄割拠で、一本のビッグスローが勝敗を決しそう。
 女子は、日本学生記録保持者の北口榛花(日本大)が欠場する中、資格記録トップは山内愛(大阪成蹊大)。最近は実力を発揮できない試合が続くが、復活を期す。1年生ながら資格記録2位の山下実花子(九州共立大)、日本学生個人を大会記録で制した瀧川寛子(東大阪大)、連覇を狙う斉藤真理菜(国士舘大)、学生歴代3位の自己記録を持つ久世生宝(筑波大)など、実力は拮抗している。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1佐道 隼矢東海大77m971山内 愛大阪成蹊大58m76
2森 秀日本大76m582山下 実花子九州共立大58m59
3河野 充志九州共立大75m833斉藤 真理菜国士舘大57m90
4小椋 健司日本大75m774瀧川 寛子東大阪大56m79
5中村 克也九州共立大75m705加藤 瑞生京都教育大56m54
十種競技・七種競技
 2日間で、男子は10種目、女子は7種目を戦う、陸上で最も過酷な種目。この種目の王者は「キング・オブ・アスリート」、「クイーン・オブ・アスリート」と呼ばれる。2日間を戦い抜いた選手たちには仲間意識が生まれ、最終種目の男子1500m、女子800mを終えた後の選手たちの絆は、感動を呼ぶ。
 男子は、川ア和也(順天堂大)が優勝候補の筆頭。昨年は故障により欠場を余儀なくされたが、今年の日本選手権でも2位に入るなど実力は折り紙付き。順天堂大の先輩・金子宗弘が持つ7773点の大会記録の更新も視野に入れつつ、2年ぶりの優勝を目指す。それを追うのは、関西IC覇者の森本公人(京都教育大)、関東IC覇者の潮ア傑(日本大)、昨年3位の右代啓欣(国士舘大)らか。
 女子は、日本選手権混成において日本学生新記録で2連覇を果たしたヘンプヒル恵(中央大)が、優勝候補の大本命。日本記録にはあと80点まで迫り、記録への挑戦にも期待がかかる。5月の九州ICで従来の日本学生記録を更新し、ヘンプヒルが再び更新するまで日本学生記録保持者となった山ア有紀(九州共立大)は、それに迫るパフォーマンスを発揮すれば、番狂わせも不可能ではない。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1川ア 和也順天堂大7679点1ヘンプヒル 恵中央大5882点
2森本 公人大阪教育大7445点2山ア 有紀九州共立大5751点
3右代 啓欣国士舘大7385点3伊藤 明子筑波大5389点
4片山 和也中京大7324点4西村 莉子武庫川女子大5345点
5坂本 都志記鹿屋体育大7304点5高橋 このか東京学芸大5338点

4×100mR

 個人種目がほとんどの陸上競技の中では珍しい団体競技であるリレー。その中でも4×100mRは花形だろう。個々の走力だけでなく、バトンパス短縮の工夫、走順によって直走路か曲走路かが異なることによるオーダーの妙など、様々な細かい技術がものを言う種目でもある。
 男子は、本大会3連覇中の中央大・日本選手権リレー2連覇中の法政大が、選手層の厚さでは随一。しかし、関東ICで、両者の間に割って入って優勝を奪ったのは筑波大だった。資格記録でもトップで、同大学として9年ぶりの優勝を狙う。昨年の優勝メンバーに加えて今季急成長の竹田一平にも力がある中央大、大瀬戸一馬・長田拓也のダブルエースを擁する法政大は、関東ICの雪辱を狙う。
 女子は、関西ICを大会新記録で制した大阪成蹊大の力がやや突出している。青山聖佳・中村水月という学生短距離界を代表するエースに加え、柴山沙也香・中島藍梨といった1年生にも力があり、選手層が厚い。昨年関西学生記録を樹立したメンバーが残る甲南大、昨年のこの大会の覇者である立命館大、関東の雄・青山学院大らがしのぎを削り、小さなミスが勝負を分ける激戦が予想される。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1筑波大39.261甲南大45.07
2東海大39.302大阪成蹊大45.42
3中央大39.353青山学院大45.46
4法政大39.484立命館大45.50
5早稲田大39.525駿河台大45.64

4×400mR

 通称「マイルリレー」と呼ばれ、対校戦では、最終種目として行われることが多い。3日間を戦い抜いた選手たちが、最後の力を振り絞ってバトンをつなぐ姿は、感動を呼ぶ。また、時にはこの最終種目で優勝が決まる場面もあり、緊迫した熱戦が繰り広げられる。
 男子は、昨年優勝の順天堂大は昨年のメンバーが全員残り、連覇に向けて視界は良好。リオ五輪4×400mR代表の北川貴理をはじめ、個人種目の400mでも入賞を狙える選手を複数擁し、コンディションによっては記録も狙える布陣。日本選手権リレー4連覇中の早稲田大、ウォルシュ・ジュリアンが爆発力を秘める東洋大にも力があり、虎視眈々と王座を狙う。
 女子は、大エース・青山聖佳を擁する昨年の優勝校・大阪成蹊大が抜群の選手層を誇る。関西ICも大会新記録で制し、あとは記録との戦いか。青山は、丹野麻美(福島大)以来史上2人目となる、200m・400m・4×100mRとの4冠を狙う。立命館大や甲南大がどこまで迫れるか。大会の最終種目。昨年は総合優勝争いがこの種目までもつれた。結果次第では、大逆転の幕切れもありうる。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1早稲田大3:05.251大阪成蹊大3:38.17
2東洋大3:05.752立命館大3:40.60
3順天堂大3:05.823甲南大3:42.51
4城西大3:06.584青山学院大3:42.62
5近畿大3:06.835筑波大3:43.05