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The Inter-University Athletics Union of Japan

種目ごとの観戦ポイント

100m

 スタート前の一瞬の静寂。号砲と同時に解き放たれる10秒間の力の爆発。まさに、陸上競技の花形といえるこの種目。
 男子は、ロンドン世界選手権4×100mR銅メダルメンバーである桐生祥秀(東洋大)と多田修平(関西学院大)が、世界選手権後初の国内レースに挑む。日本選手権では多田が先着し、世界選手権の個人種目代表をつかんだ。そのまま多田は個人種目でも世界選手権セミファイナリストまで駆け上がった。3連覇を狙う桐生は、強敵を破り最終学年を飾れるか。そして、日本人初の9秒台は。
 女子は、昨年3位の前山美優(新潟医療福祉大)が自己記録を学生歴代4位の11秒52に伸ばすなど順調で、日本学生個人は2連覇達成。北信越勢による100m制覇となれば22年ぶり。日本選手権で前山に先着する3位に入った中村水月(大阪成蹊大)も、今季関西学生新記録を樹立するなど好調。ユニバーシアード代表の2人に、関東IC覇者の君嶋愛梨沙(日本体育大)ら関東勢がどこまで迫れるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1桐生 祥秀東洋大10.011前山 美優新潟医療福祉大11.51
2多田 修平関西学院大10.082中村 水月大阪成蹊大11.57
3竹田 一平中央大10.273土井 杏南大東文化大11.60
4川上 拓也中央大10.304竹内 爽香慶應義塾大11.71
4田中 佑典日本ウェルネススポ大10.305エドバー・イヨバ日本大11.72
5小寺 美沙季作新学院大11.72

200m

 スプリントの花形、100mに比べて地味な印象のこの種目だが、実は、曲走路の走りが勝負を分ける、速さと技術がものを言う味のある種目でもある。
 男子は、世界選手権4×100mR銅メダルメンバーの桐生祥秀(東洋大)は、2年連続の100m・200m2冠がかかる。最終学年に懸ける思いは強い。挑むのは、山下潤(筑波大)、田中佑典(日本ウェルネス大)、北川翔(順天堂大)のユニバーシアード代表トリオか。ダイヤモンドアスリートの山下は、関東ICで桐生に次ぐ2位。今季出した20秒59の自己記録を更に更新すれば、大物食いもある。
 女子は、日本選手権100m・200mともに学生最高の3位に入った中村水月(大阪成蹊大)が順調。昨年の覇者・青山聖佳(大阪成蹊大)が今季はやや元気がないだけに、総合連覇を狙う大阪成蹊大にとっては中村の走りが鍵となる。昨年2位の前山美優(新潟医療福祉大)も100mとの2冠を狙える。ユニバーシアード代表の竹内爽香(慶應義塾大)、壹岐いちこ(立命館大)も上位を窺う。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1桐生 祥秀東洋大20.591中村 水月大阪成蹊大23.66
1山下 潤筑波大20.592前山 美優新潟医療福祉大23.80
3田中 佑典日本ウェルネススポ大20.633壹岐 いちこ立命館大23.97
4北川 翔順天堂大20.694佐々木 梓青山学院大24.00
4小池 祐貴慶應義塾大20.694青山 聖佳大阪成蹊大24.00

400m

 短距離種目では最長のこの種目。トラック1周を50秒以内で駆け抜けるが、最後の直線は、選手にとっては永遠に感じられると言う。
 男子は、世界選手権2大会連続代表の北川貴理(順天堂大)が2年ぶりの優勝に挑む。五輪代表として挑んだ昨年はまさかの予選落ちの屈辱を味わった。地元・福井でリベンジに挑む。昨年の覇者ウォルシュ・ジュリアン(東洋大)は、4月の世界リレーで負った故障から復帰。どこまで調子を取り戻せるか。3年前の覇者・加藤修也(早稲田大)も、最終学年で虎視眈々とタイトル奪還を狙う。
 女子は、記録だけを見れば2年連続200m・400m2冠の青山聖佳(大阪成蹊大)が圧倒的だが、今季は関西ICを大会新で制して以降は日本学生個人5位、日本選手権6位に沈むなど本来の実力を発揮できていない。その間隙を縫って台頭してきたのが昨年2位の岩田優奈(中央大)。日本学生個人を制すと、日本選手権では自己記録の53秒65で初優勝。勢いそのまま日本ICでも戴冠となるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1ウォルシュ ジュリアン東洋大45.351青山 聖佳大阪成蹊大52.85
2北川 貴理順天堂大45.482岩田 優奈中央大53.65
3加藤 修也早稲田大45.713秦野 南美山梨学院大54.21
4三原 泰起甲南大45.884松本 奈菜子筑波大54.22
5小渕 瑞樹東海大45.955池崎 愛里順天堂大54.64

800m

 400mトラックを2周。最初から引っ張るか、最後のスパートに賭けるかなど、駆け引きが非常に重要な種目で、心技体すべてが要求される。
 男子は、今季前半に学生歴代5位の記録を出す飛躍を遂げた村島匠(順天堂大)は、6月の日本学生個人で接触・転倒し、学生として初の日本一の称号を逃した。最終学年の日本ICで悲願の日本一を目指す。ランキング2位の花村拓人(関西学院大)、関東IC2位の西久保達也(早稲田大)、昨年3位の田母神一喜(中央大)ら、2年生世代に強い選手が揃い、切磋琢磨して上位を窺う。
 女子は、6月に学生歴代2位の大記録をマークした北村夢(日本体育大)が大本命。日本選手権も好タイムで制しており、初優勝に向けて舞台は整った。日本体育大は、28年ぶりの総合優勝を果たした関東ICにおいてこの種目で17点を獲得しており、総合順位争いでも鍵となる種目になりそう。昨年の覇者・卜部蘭(東京学芸大)や関東IC2位の池崎愛里(順天堂大)は北村をどこまで脅かせるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1村島 匠順天堂大1:47.461北村 夢日本体育大2:02.52
2花村 拓人関西学院大1:48.012池崎 愛里順天堂大2:04.85
3白石 浩之順天堂大1:48.043卜部 蘭東京学芸大2:04.86
4西久保 達也早稲田大1:48.344広田 有紀秋田大2:05.65
5梅谷 健太順天堂大1:48.535熊谷 彩音日本体育大2:06.21

1500m

 800mと同様に、頭を使うことも要求される種目。4分間の間に先頭の入れ替わりやスパート合戦など、さまざまな展開が繰り広げられ、見ごたえもある。
 男子は、館澤亨次(東海大)が6月の日本選手権を制した。過去にも荒井七海(現・Honda)ら学生で日本選手権を制した選手を輩出した東海大だが、意外にも1500mの日本IC優勝はゼロ。今年は館澤・木村理来・塩澤稀夕と実力者を揃え、大学初の優勝どころか上位独占もあり得る。対するは、今季日本ランキングトップの小林航央(筑波大)や昨年の覇者・齋藤雅英(早稲田大)らか。
 女子は、日本選手権で2位に入った上田未奈(城西大)がランキングトップ。日本学生個人・オールスターナイト陸上も制し、波に乗る。対するは、関東ICを制したルーキー・工藤杏華(日本体育大)、昨年2位、800mと2種目で上位を狙う卜部蘭(東京学芸大)らか。昨年1年生優勝を遂げた橋本奈津(京都産業大)は今季まだ表舞台に出てきていないが、持ち前の勝負強さを発揮できるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1小林 航央筑波大3:41.811上田 未奈城西大4:17.08
2木村 理来東海大3:42.202樺沢 和佳奈慶應義塾大4:17.68
3田母神 一喜中央大3:42.443工藤 杏華日本体育大4:18.15
4館澤 亨次東海大3:42.514卜部 蘭東京学芸大4:19.35
5森田 佳祐筑波大3:43.015橋本 奈津京都産業大4:20.11

5000m

 400mトラックを12周半。今や長距離種目は、言わずと知れた人気種目だが、9月の猛暑に選手がいかに対応していくかにも注目。
 男子は、パトリック・ワンブィ(日本大)の2年連続長距離2冠は濃厚か。昨年2冠を達成した勢いそのまま、今年の関東ICも2冠達成。入学以来の関東IC・日本ICでの5000m・10000mの最低順位は2位と、圧倒的な強さを誇る。関東IC2位の鬼塚翔太(東海大)、同3位の坂東悠汰(法政大)、昨年1年生ながら5位入賞の新迫志希(早稲田大)らが、どこまでワンブィを追い詰められるか。
 女子は、学生歴代9位の自己記録を持つ佐藤成葉(立命館大)、関西ICで佐藤を破り優勝した棚池穂乃香(京都産業大)、日本学生個人覇者のルーキー・加世田梨花(名城大)などによる混戦が予想される。近年西高東低のこの種目だが、今年はユニバーシアード代表で関東IC長距離2冠の関谷夏希(大東文化大)ら関東勢にも、11年ぶりに関東にこの種目のタイトルを奪還するチャンスがある。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1パトリック・ワンブィ日本大13:27.631佐藤 成葉立命館大15:27.83
2鬼塚 翔太東海大13:38.582関谷 夏希大東文化大15:33.95
3阪口 竜平東海大13:41.093上田 未奈城西大15:36.27
4坂東 悠太法政大13:47.264加世田 梨花名城大15:39.66
5新迫 志希早稲田大13:47.975高見沢 里歩松山大15:46.12

10000m

 今大会では最長の競走種目。400mトラックを25周という長丁場だが、それを感じさせないほど目まぐるしく勝負の駆け引きが行われる。長距離選手には厳しい残暑が予想され、暑さへの対応力も問われる。
 男子は、パトリック・ワンブィ(日本大)が3連覇に挑む。関東IC2位のドミニク・ニャイロ(山梨学院大)が欠場で、王座維持は盤石に思える。対抗馬の1番手は今季唯一27分台をマークしているサイモン・カリウキ(日本薬科大)だが、勝負強さはどれほどか。ユニバーシアード代表の栃木渡(順天堂大)、昨年全日本大学駅伝4区区間賞の永山博基(早稲田大)ら日本人の奮起にも期待。
 女子は、細田あい(日本体育大)がユニバーシアードで銅メダルを獲得。同大学の唐沢ゆりとともに、総合優勝のためにはこの種目で得点を稼ぎたい。昨年2位、学生歴代4位の自己記録を持つ棟久由貴(東京農業大)は、大舞台では未だ無冠。初タイトルを狙う。昨年5年ぶりにこの種目の表彰台を逃した立命館大は、関紅葉・和田優香里・太田琴菜のエース級で勝負をかける。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1サイモン・カリウキ日本薬科大27:53.501棟久 由貴東京農業大31:58.46
2パトリック・ワンブィ日本大28:04.852細田 あい日本体育大32:26.99
3栃木 渡順天堂大28:19.893玉城 かんな名城大32:40.28
4永山 博基早稲田大28:25.854唐沢 ゆり日本体育大32:40.57
5モグス・タイタス東京国際大28:28.405関 紅葉立命館大32:40.79

110mH・100mH

 ハードルの高さは、男子では大人の腰くらいの高さ(1.067m)。全身を目いっぱいに使ってハードルを超えていく姿は、迫力を感じさせる。
 男子は、ユニバーシアード代表の金井大旺(法政大)が優勝争いの軸か。2014年の世界ジュニア金メダルなど早くから頭角を現してきたが、最終学年で自己記録を0.2秒以上更新し飛躍。同じくユニバ代表の野本周成と昨年2位の古谷拓夢の早稲田大コンビや、日本選手権で学生2番手に入った栗城アンソニー(国際武道大)、関西学生記録保持者の鍵本真啓(立命館大)らが上位を狙う。
 女子は、日本選手権の準決勝で自己記録を更新し、決勝で4位に入賞した福部真子(日本体育大)がランキングトップ。インターハイ3連覇の経歴を持つ福部が、最終学年、総合優勝を狙う日本体育大の主将として初の戴冠に挑む。連覇に挑む小林紗矢香(愛知教育大)、日本学生個人で福部に同タイムながら先着した昨年2位の中村有希(関西大)らにも力があり、1つのミスが明暗を分ける。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1金井 大旺法政大13.531福部 真子日本体育大13.37
2栗城 アンソニー国際武道大13.602ヘンプヒル 恵中央大13.38
2野本 周成早稲田大13.623小林 紗矢香愛知教育大13.45
4石川 周平筑波大13.674中村 有希関西大13.46
5鍵本 真啓立命館大13.725大久保 有梨中央大13.51
5堀池 香穂国士舘大13.51

400mH

 400mを走る間に10台のハードルを越える。スピードとハードル技術の両方が問われる。ハードル間を何歩で刻むかなどにも注目してみると、人それぞれで面白い。
 男子は、世界選手権代表の鍜治木凌(城西大)と石田裕介(早稲田大)を中心とした優勝争いになる。ともに世界選手権は予選落ち。感じた世界の壁を飛躍の糧にできるか。ただし、この2人も盤石ではない。2人と遜色ないタイムを持つ渡部佳朗(城西大)、関東ICで石田を破り2位に入った山本竜大(日本大)、関西の学生で史上3人目の49秒台に突入した大林督享(近畿大)らも上位を狙う。
 女子は、1年生ながら関東ICを制した小山佳奈(早稲田大)と関西ICを3年ぶりに制した大学院生・王子田萌(立命館大)による争いか。日本学生個人で小山が0.24秒王子田に先着して1年生優勝を飾ると、日本選手権では逆に王子田が小山に0.24秒先着して学生トップの3位に入るなど、実力は拮抗している。早稲田大は昨年5位の南野智美や2年生の兒玉彩希にも力があり、大量得点もある。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1鍜治木 崚城西大49.331小山 佳奈早稲田大57.87
2石田 裕介早稲田大49.352王子田 萌立命館大57.89
3渡部 佳朗城西大49.433南野 智美早稲田大58.58
4大林 督享近畿大49.704伊藤 明子筑波大58.63
5山本 竜大日本大49.925兒玉 彩希早稲田大58.65

3000mSC

 3000mの中で障害物を28回、水郷を7回飛び越える、トラックで最も過酷な種目。
 男子は、昨年のリオ五輪代表・塩尻和也(順天堂大)が、史上2人目のこの種目3連覇に挑む。今年は世界選手権代表を逃し悔しい思いをしたが、学生相手であれば死角無しか。ランキング3位の滋野聖也(星槎道都大)は、7月のホクレンディスタンスチャレンジで大幅な北海道学生新記録をマークした。もし優勝すれば、北海道学連の選手による中長距離種目制覇は大会史上初となる。
 女子は、昨年ともに大会新記録でワンツーフィニッシュを飾った高見澤安珠・岡田佳子の松山大勢が、今年も日本学生個人で1位・2位に入るなど順調。高見澤は、日本選手権で3位に沈むなど、リオ五輪代表になった昨年ほどの走りはまだ見られないが、学生の中では抜きん出ている。昨年3位の藪田裕衣(京都産業大)、関東IC覇者の清水萌衣乃(東京農業大)らが松山大の牙城を崩せるか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1塩尻 和也順天堂大8:31.891高見澤 安珠松山大9:44.22
2阪口 竜平東海大8:37.642岡田 佳子松山大9:59.17
3滋野 聖也星槎道都大8:40.593藪田 裕衣京都産業大10:00.65
4三上 嵩斗東海大8:44.344清水 萌衣乃東京農業大10:05.52
5矢ノ倉 弘山梨学院大8:49.045高見沢 里歩松山大10:05.81

10000mW

 今大会唯一の競歩種目。両足が同時にグラウンドから離れていないか(ロス・オブ・コンタクトになっていないか)、前脚が接地の瞬間から垂直の位置になるまでまっすぐに伸びているか(ベント・ニーになっていないか)、よく目を凝らして見てほしい。
 男子は、ユニバーシアード20km競歩代表の山西利和(京都大)、及川文隆(東洋大)、野田明宏(明治大)の対決か。中でも2連覇を狙う山西は、今年の日本選手権20km競歩で3位に入り、世界選手権代表を狙えるまでに成長した。ロンドン世界選手権の50km競歩で複数メダルを獲得するなど日本のお家芸となった競歩。出場選手の中から2020年東京五輪のメダリストが生まれるかもしれない。
 女子は、五藤怜奈(中部学院大)の4連覇に黄信号。入学以来昨年まで学生の主要大会全てを制してきた五藤だが、今年は日本学生20km競歩で途中棄権、日本学生個人は3位。風雲急を告げる優勝争いの中、日本学生個人優勝の河添香織(立命館大)が資格記録トップ。日本学生20km競歩を制した??住友希(千葉保健医療大)、関東IC2位の溝口友己歩(早稲田大)ら、優勝争いは混沌としている。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1山西 利和京都大39:24.491河添 香織立命館大45:56.89
2及川 文隆東洋大39:59.022溝口 友己歩早稲田大46:19.49
3野田 明宏明治大40:22.863??住 友希千葉保健医療大46:21.11
4川野 将虎東洋大40:39.994熊谷 菜美国士舘大47:03.35
5池田 向希東洋大40:43.345五藤 怜奈中部学院大47:10.46
走高跳
 「高さの跳躍」と呼ばれる跳躍種目の1つ。助走のリズムと、スピードを高さに変える技術力、バーに触れずにマットに着地する身のこなしが重要。
 男子は、資格記録トップは昨年の覇者・松本修一(福岡大)だが、今季のベストは2m14と苦しんでいる。一方、2m22を跳んで今季トップなのが赤松諒一(岐阜大)。日本ICで自己記録をマークし優勝した一昨年の再現はあるか。昨年2位で関東IC覇者の中島大輔(日本大)、日本学生個人を北信越学生タイ記録で制した長谷川直人(新潟医療福祉大)らも力があり、誰が勝ってもおかしくない。
 女子は、昨年の覇者・仲野春花(早稲田大)が好調。日本選手権を1m80で優勝すると、7月のトワイライト・ゲームスでは1m83の自己記録をマークした。2連覇に向けて視界は良好か。対するは、関東IC・日本学生個人と仲野に次ぐ2位に入った寺谷諭美(筑波大)、関西ICチャンピオンで昨年2位の秦澄美鈴(武庫川女子大)、日本選手権3位の津田シェリアイ(東大阪大)らか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1松本 修一福岡大2m241仲野 春花早稲田大1m83
2赤松 諒一岐阜大2m222浅井 さくら筑波大1m81
3中島 大輔日本大2m212秦 澄美鈴武庫川女子大1m81
3長谷川 直人新潟医療福祉大2m214榊原 至佳子立命館大1m80
3真野 友博福岡大2m214徳本 鈴奈福岡大1m80
棒高跳
 陸上競技の中で、最も「高い」場所で行われる種目。男子では5mをはるかに超える高さまで舞い上がり、見上げる高さのバーに触れもせずに超えていく。男子棒高跳は、フィールド種目で数少ない、日本が世界と戦える種目。
 男子は、関東ICで抜きつ抜かれつの大接戦を演じた江島雅紀(日本大)と来間弘樹(順天堂大)の争いに、連覇を狙う鈴木康太(中京大)が絡んでくる構図か。ダイヤモンドアスリートの江島は、学生ルーキーの今季もU20アジア記録を樹立するなど順調。関東ICにおいて大会新記録で江島を破ったのが来間。鈴木も日本選手権4位入賞など好調で、競り合ってハイレベルの勝負になることを期待。
 女子は、5月に4m01を跳んだ那須眞由(園田学園女子大)、関東ICをルーキーながら4m00の大会タイ記録で制した諸田実咲(中央大)が、資格記録上位。諸田は日本選手権でも4m00を跳んで、学生最上位の4位に入賞した。しかし、日本学生個人を制した金治良佳(武庫川女子大)、昨年の覇者で今年も日本学生個人2位など実績のある鈴木里菜(日本体育大)などもおり、混戦が予想される。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1江島 雅紀日本大5m651那須 眞由園田学園女子大4m01
2鈴木 康太中京大5m602諸田 実咲中央大4m00
3来間 弘樹順天堂大5m553青柳 有香東京学芸大3m95
4澤 慎吾日本大5m404青柳 唯鹿屋体育大3m91
5竹川 倖生法政大5m305鈴木 里菜日本体育大3m90
5植松 倫理筑波大5m305金治 良佳武庫川女子大3m90
5石川 拓磨中京大5m30
5石川 明斗関西学院大5m30
走幅跳
 助走のスピードを跳躍力に変え、宙を舞って砂場に着地する。スピードが肝心だが、空中での姿勢や、1センチ単位での助走開始位置の調整など、細かな技術もものを言う。
 男子は、橋岡優輝・山川夏輝・小田大樹の日本大トリオがランキング上位を独占。中でもダイヤモンドアスリートの橋岡は、関東ICを8m04の大会新記録で制すると、日本選手権ではその自己記録をさらに1cm伸ばし、弱冠18歳にして日本チャンピオンに輝いた。ユニバーシアードは故障で欠場したが、復活なるか。他大学は、総合6連覇を狙う日本大の大量得点を少しでも防ぎたい。
 女子は、日本学生個人を2年ぶりに制し、日本選手権でも2位に入った辻本愛莉香(大阪成蹊大)が初優勝を狙える。昨年は5位までを関西勢が占めた。今年も、昨年1年生ながら2位に入った山下友佳(立命館大)、一昨年の覇者・福西穂乃佳(京都教育大)ら実力者が揃う。そんな中、資格記録トップのヘンプヒル恵(中央大)は、複数種目をこなす疲労といかに付き合えるかが実力発揮の鍵。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1橋岡 優輝日本大8m051ヘンプヒル 恵中央大6m28
2山川 夏輝日本大8m002辻本 愛莉香大阪成蹊大6m27
3小田 大樹日本大7m933山下 友佳立命館大6m16
4野村 智也東海大7m864福西 穂乃佳京都教育大6m15
4川島 鶴槙順天堂大7m865原田 彩希九州共立大6m11
三段跳
 ホップ・ステップ・ジャンプの三段のリズムで、10mを超える距離を稼ぐ。よく観察すると、人によってホップ・ステップ・ジャンプそれぞれで稼ぐ距離の割合も微妙に違っており、そういった細かな違いに目を向けるのも醍醐味の一つ。
 男子は、山本凌雅(順天堂大)の3度目の優勝は盤石に思える。4月に日本歴代7位の16m87をマークすると、関東IC、日本選手権といった大試合を次々と制し、ユニバーシアードでは銅メダルを獲得した。山本の目は、優勝の先にある17m15の日本記録を向いているか。その山本に日本選手権で2cmと迫ったのが原田睦希(立命館大)。山本が不覚をとれば、関西勢29年ぶりの同種目制覇も。
 女子は、剱持クリア(筑波大)が、日本選手権で学生歴代7位の13m14を記録し2位。今年は関東ICも初制覇し波に乗る。日本学生個人・関東ICを制した経験のある姉・早紀(筑波大→長谷川体育施設)も成し遂げられなかった日本IC優勝が見えてきた。昨年1年生ながら2位に入り今年も関西ICを制した河合栞奈(大阪成蹊大)、日本学生個人優勝の齋藤萌乃(日本女子体育大)らも力がある。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1山本 凌雅順天堂大16m871剱持 クリア筑波大13m14
2原田 睦希立命館大16m272河合 栞奈大阪成蹊大12m84
3鈴木 義啓静岡産業大16m222太田 万致子日本大12m70
4許田 悠貴鹿屋体育大16m214齋藤 萌乃日本女子体育大12m63
5中山 昂平中京大16m205宮畑 さくら園田学園女子大12m58
砲丸投
 世界レベルの選手でも20m程度の記録と、投てき種目の中では、地味に思われがちな種目。しかし、砲丸の重さは男子で7.260kgとハンマー投と並んで最も重いため、パワーが非常にものを言う豪快さが魅力でもある。一方、人によって回転投法かグライド投法かが異なるなど、細かい技術面にも注目したい。
 男子は、森下大地(筑波大)が、日本学生歴代4位の17m90を6月にマークしランキングトップ。昨年6cm差で逃した日本一の称号を狙う。昨年、その6cm差で覇者となったのが武田歴次(日本大)。武田も今季17m70の自己記録をマークし好調。日本大は、関東ICで森下・武田を破って優勝した川口哲生、一昨年の覇者・鈴木愛勇も擁し、過去5年で4回制しているお家芸での上位独占を窺う。
 女子は、太田亜矢(福岡大)と郡菜々佳(九州共立大)による日本トップレベルの争いに期待。現在日本IC2連覇中の太田は、今季も自己記録を30cm以上更新し日本ランキングトップ。最終学年、3連覇を狙う。一方の郡は、日本選手権で太田を破り悲願のチャンピオンに輝いた。円盤投との2冠に挑む。2人に割って入るとすれば、昨年2位で今年も関東ICを制した長沼瞳(国士舘大)か。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1森下 大地筑波大17m501太田 亜矢福岡大16m47
2武田 歴次日本大17m282郡 菜々佳九州共立大16m24
3川口 哲生日本大17m253長沼 瞳国士舘大15m52
4鈴木 愛勇日本大16m844尾山 和華福岡大15m11
4幸長 慎一四国大16m735西川 チカコ福岡大14m86
円盤投
 ハンマー投と並んで、ネットに囲まれたサークル内でターンをして円盤を遠くに飛ばす。教科書などで、よく円盤投をしている男性の像の写真が掲載されるように、古代オリンピックからあった歴史ある種目。円盤の重さは、男子2kg、女子1kg。
 男子は、昨年2位の安藤夢(東海大)がランキングトップで初優勝を狙う。2年連続2位に甘んじてきたが、今季は関東ICも制し機は熟した。高校時代からトップで活躍してきた幸長慎一(四国大)が満を持して資格記録2位。幸長が勝てば、中国四国勢としてはこの種目初の日本ICチャンピオンとなる。関東IC2位の吉田惇(東海大)にも力があり、3年連続の東海大勢“ワンツー”も狙える。
 女子は、資格記録トップは昨年の覇者・郡菜々佳(九州共立大)。今年も、学生歴代4位の自己記録を5月にさらに更新し、日本学生個人でも日本人トップの2位に入るなど順調。昨年あと一歩のところで逃した砲丸投との2冠を狙う。一方、その郡を破って日本選手権初優勝に輝いたのが辻川美乃莉(筑波大)。さらに、一昨年の覇者・藤森夏美(順天堂大)も虎視眈々とタイトル奪還を狙う。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1安藤 夢東海大54m921郡 菜々佳九州共立大54m02
2幸長 慎一四国大54m152藤森 夏美順天堂大51m45
3吉田 惇東海大53m143辻川 美乃利筑波大51m37
4高倉 星也新潟医療福祉大51m754石井 明日夏東京女子体育大50m19
5首藤 大輝日本大51m695塗 真奈美東京女子体育大48m93
ハンマー投
 室伏広治の活躍などで、一番なじみのある投てき種目かもしれない。男子7.260kg、女子4kgのハンマーを60m以上飛ばすには、上半身と下半身のバランスのとれた身体能力が不可欠。
 男子は、今季、複数の選手が好記録を出している。3月に根本太樹(流通経済大)が当時学生歴代5位の68m42を投げたのを皮切りに、墨訓熙(中京大)が日本学生個人で学生歴代4位の70m05をマーク。日本選手権では昨年の日本IC覇者・内堀弘樹(九州共立大)が学生歴代8位の68m03で2位に入り、7月には木村友大(九州共立大)が学生歴代5位の69m85。近年稀にみる好勝負に期待。
 女子は、日本選手権で60m49の自己記録をマークし学生最上位を獲得した本村夏鈴(九州共立大)がランキングトップ。九州共立大は、メイン桜・桑原翠も5位・6位の資格記録を持ち、層が厚い。しかし、関東ICを制した関口清乃・日本学生個人覇者の江原宇宙という筑波大コンビや、昨年2位で、今年の九州ICでは本村を破り優勝を飾った??川奈緒(福岡大)など、優勝争いは混沌としている。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1墨 訓煕中京大70m051本村 夏鈴九州共立大60m49
2木村 友大九州共立大69m852関口 清乃筑波大60m08
3根本 太樹流通経済大68m423江原 宇宙筑波大58m75
4内堀 弘樹九州共立大68m034??川 奈緒福岡大58m28
5奥村 匡由流通経済大66m745メイン 桜九州共立大57m73
やり投
 近年日本男子の活躍が著しい種目。男子800g、女子600gのやりを投げる。一番「投げている」感はあるが、実は、素人ではまっすぐ投げる事さえ難しい。
 男子は、小南拓人(国士舘大)が6月の日本学生個人で学生歴代3位の79m17のビッグスロー。最終学年で、高校3年のインターハイ以来の日本一を狙う。日本選手権で学生トップの3位に入った小椋健司(日本大)とともに、ユニバーシアード代表。しかし、関東IC2連覇中の佐道隼矢(東海大)、昨年の覇者・中村克也(九州共立大)など実力は拮抗しており、誰が勝っても不思議ではない。
 女子は、斉藤真理菜(国士舘大)が3連覇を狙う。今年は7月のトワイライト・ゲームスで日本記録保持者の海老原有希(スズキ浜松AC)を破るなど飛躍を遂げ、ユニバーシアードでは日本学生新記録で銀メダル。しかし、前日本学生記録保持者の北口榛花(日本大)、日本選手権で学生歴代3位の投てきを見せた山下実花子(九州共立大)らにも力があり、ハイレベルの接戦が予想される。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1小南 拓人国士舘大79m171斉藤 真理菜国士舘大61m07
2佐道 隼矢東海大77m972北口 椿花日本大59m59
3石山 歩中京大77m913山下 実花子九州共立大59m53
4中村 克也九州共立大77m894瀧川 寛子中京大56m79
5中西 啄真大阪体育大77m645當間 汐織九州共立大56m17
十種競技・七種競技
 2日間で、男子は10種目、女子は7種目を戦う、陸上で最も過酷な種目。この種目の王者は「キング・オブ・アスリート」、「クイーン・オブ・アスリート」と呼ばれる。2日間を戦い抜いた選手たちには仲間意識が生まれ、最終種目の男子1500m、女子800mを終えた後の選手たちの絆は、感動を呼ぶ。
 男子は、日本選手権混成で学生トップの4位に入ったのは森本公人(大阪教育大)。今季は、自己記録を200点上回る関西学生新記録をマークするなど飛躍。田上駿(順天堂大)は関東ICで、昨年の日本IC2位の潮ア傑(日本大)を破る自己新で優勝。高校時代からトップで競ってきたこの2人が、大学院生・森本に挑む。片山和也(中京大)も日本選手権混成に自己新での5位入賞など好調。
 女子は、ヘンプヒル恵(中央大)の3連覇は揺るがないか。今年も6月の日本選手権混成で自身の持つ日本学生記録をさらに更新するなど順調。ヘンプヒルの目は、時間の問題となった日本記録更新、そしてその先にある日本人初の6000点台に向いている。対抗できるとすれば、昨年の九州ICで当時のヘンプヒルの学生記録を上回り、一時日本学生記録保持者となった山ア有紀(九州共立大)か。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1片山 和也中京大7445点1ヘンプヒル 恵中央大5907点
2森本 公人大阪教育大7445点2山ア 有紀九州共立大5751点
3潮ア 傑日本大7422点3西村 莉子武庫川女子大5486点
4田上 駿順天堂大7411点4高橋 このか東京学芸大5378点
5右代 啓欣国士舘大7385点5シュレスタ まや筑波大5361点

4×100mR

 個人種目がほとんどの陸上競技の中では珍しい団体競技であるリレー。その中でも4×100mRは花形だろう。個々の走力だけでなく、バトンパス短縮の工夫、走順によって直走路か曲走路かが異なることによるオーダーの妙など、様々な細かい技術がものを言う種目でもある。
 男子は、中央大が、第25回大会の同大以来の5連覇に挑む。今季も関東ICの優勝記録39秒07はランキングトップ。快挙が現実味を帯びてきた。ランキング2位は、世界選手権銅メダルメンバーの多田修平を擁する関西学院大。22年ぶりに関東勢以外がこの種目を制する可能性も。昨年バトンミスで涙を呑んだ東洋大は、世界選手権銅メダルメンバーの桐生祥秀が最終学年でのリベンジに燃える。
 女子は、甲南大が関西ICで大学別歴代3位となる44秒98の好記録をマーク。日本学生記録まであと0.18秒。11年ぶりの大記録へ期待が高まる。昨年の覇者・大阪成蹊大は、関西ICこそバトンミスで予選落ちの不覚をとったが、昨年の優勝メンバーが全員残り、十分連覇の目はある。関東ICを制した青山学院大も、3年ぶりの王座奪回を狙う。どのチームも、優勝に向けて1つのミスも許されない。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1中央大39.071甲南大44.98
2関西学院大39.112大阪成蹊大45.00
3東洋大39.333日本体育大45.18
4日本大39.443青山学院大45.18
5順天堂大39.495大東文化大45.24

4×400mR

 通称「マイルリレー」と呼ばれ、対校戦では、最終種目として行われることが多い。3日間を戦い抜いた選手たちが、最後の力を振り絞ってバトンをつなぐ姿は、感動を呼ぶ。また、時にはこの最終種目で優勝が決まる場面もあり、緊迫した熱戦が繰り広げられる。
 男子は、混戦が予想される。資格記録トップの東洋大は昨年、桐生祥秀を投入して乾坤一擲の勝負をかけ見事優勝を果たした。最終学年の桐生が再び名を連ね、エースのウォルシュ・ジュリアンが故障から復活を遂げれば昨年の再現も。今季ランキングトップは関東IC覇者の東海大。しかし、世界選手権代表の北川貴理を擁する順天堂大、関東IC2部を大会新で制した駿河台大などにも力がある。
 女子は、日本体育大は5月の関東ICで、最終種目の4×400mRまでもつれた総合優勝争いを劇的な関東学生新記録で制した。その時の記録で日本体育大が堂々のランキングトップ。それに次ぐのが関東IC2位の中央大、3連覇を狙う大阪成蹊大。近年、日本ICや地区ICにおいて、総合優勝争いが4×400mRまでもつれる例が目立つ。今大会も、この種目で雌雄を決するなどということがあるのだろうか。

【資格記録上位ランキング】
男子 女子
1東洋大3:05.481日本体育大3:37.80
2東海大3:06.042中央大3:39.83
3順天堂大3:06.473大阪成蹊大3:40.19
4関西学院大3:06.974筑波大3:40.60
5駿河台大3:07.405青山学院大3:41.07